『ベートーヴェンと日本人』浦久俊彦著

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ベートーヴェンと日本人

『ベートーヴェンと日本人』

著者
浦久 俊彦 [著]
出版社
新潮社
ジャンル
芸術・生活/音楽・舞踊
ISBN
9784106108846
発売日
2020/11/18
価格
902円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

『ベートーヴェンと日本人』浦久俊彦著

[レビュアー] 産経新聞社

 西洋音楽が日本で受容される前提には、文明開化期の太陽暦への移行があった。時間が伸び縮みする不定時法からの脱却だ。まずこの指摘に意表をつかれる。次いで軍事制度の一部として、リズムとテンポのある西洋音楽が移入される。当時の日本人は足並みをそろえて行進できなかったからだ。

 異物だった西洋音楽は、大正教養主義という潮流のなかで教養に変容する。そして関東大震災から大東亜戦争という苦難の時代、教養をもつ人々に「神の啓示」のような励ましを与えたのが「第9」だった。ベートーベンの受容を軸にした斬新な文化論だ。(新潮新書・820円+税)

産経新聞
2020年12月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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