「ひぐま」こと樋口まりあは、大学でリケジョだったが、就活に失敗、祖母のツテで食品商社の社長秘書になって2年目だ。
社長の来客に料理を振る舞うのも秘書の仕事。倉庫番を自称する管理部長の教えを受けながら、他の業務同様、料理も腕をあげてきた。そんなまりあが、料理や社長、客とのやりとりを通じ、食べ物の持つ力、だれかと一緒に食事することの意味に気づいていく。
ボルシチ、七草粥、にんじんケーキ、中華まんなどが次々と登場。その文章に加え、湯気を上げる中華まんの表紙写真に思わずため息が漏れた。(石井睦美著、中公文庫・720円+税)
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2020年12月20日 掲載
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