「本の雑誌が選ぶ2020年度文庫ベストテン」が、毎年年末に刊行している「おすすめ文庫王国2021」にて発表された。
第1位に選ばれたのは阿部暁子さんの『パラスター』(集英社)。本作は車いすテニスプレイヤーと車いすエンジニアの二人の視点で描かれたスポーツ小説。車いすテニスのルールや選手の駆け引きについて理解できるほか、障害者を取り巻く社会問題にも気付かされる作品だ。
著者の阿部さんは、岩手県出身。「陸の魚」で雑誌Cobalt短編小説新人賞に入選。「いつまでも」(刊行時『屋上ボーイズ』に改題)で2008年度ロマン大賞を受賞している。その他著書に「鎌倉香房メモリーズ」シリーズ、『どこよりも遠い場所にいる君へ』『また君と出会う未来のために』『室町繚乱 義満と世阿弥と吉野の姫君』などがある。
2位は、三島由紀夫による作家論『谷崎潤一郎 川端康成』(中央公論新社)、3位は荻原浩さんの『海馬の尻尾』(光文社)が選ばれた。
そのほか、『おすすめ文庫王国2021』では、読者アンケートによる「私の文庫ベスト1」や書評家やライターが選んだ年間マイベスト3冊などを掲載している。
〈本の雑誌が選ぶ2020年度文庫ベストテン〉
1『パラ・スター〈Side 百花〉〈Side 宝良〉』阿部暁子[著]集英社
2『谷崎潤一郎 川端康成』三島由紀夫[著]中央公論新社
3『海馬の尻尾』荻原浩[著]光文社
4『マーダーボット・ダイアリー』マーサ・ウェルズ[著]中原尚哉[訳]東京創元社
5『比ぶ者なき』馳星周[著]中央公論新社
6『京都深堀りさんぽ』グレゴリ青山[著]小学館
7『ランチ酒』原田ひ香[著]祥伝社
8『奇界紀行』佐藤健寿[著]KADOKAWA
9『地下鉄道』コルソン・ホワイトヘッド[著]谷崎由依[訳]早川書房
10『仁淀川漁師秘伝』宮崎弥太郎[語り]かくまつとむ[聞き書き]山と溪谷社
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