「2021本格ミステリ・ベスト10」 今年の1位は阿津川辰海『透明人間は密室に潜む』 海外編は『その裁きは死』

文学賞・賞

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 原書房発行の「2021 本格ミステリ・ベスト10」が発売され、推理小説を対象とするランキング・ベスト10が発表された。

 国内編で1位となったのは、阿津川辰海さんの『透明人間は密室に潜む』(光文社)。『名探偵は嘘をつかない』でデビューした著者が、透明人間による殺人事件を描いた表題作を含む4編が収録された作品集。

 書評家の杉江松恋さんは、表題作について「前半では透明になった犯人の視点を中心に凶行までを描き、その殺人現場に駆け付けた探偵が真相を言い当てるまでを後半で描く。通常と全く異なる状況では、特殊な前提の下で推理も進めなければならない。その論理のねじれ具合が楽しめる一篇である」と評している。
https://www.bookbang.jp/review/article/623763

 著者の阿津川辰海さんは、1994年東京都生まれ。東京大学卒。2017年に光文社の新人発掘プロジェクト「KAPPA-TWO」の第1弾として『名探偵は嘘をつかない』でデビュー。本格ミステリ・ベスト10の第3位にランクインする。次作『星詠師の記憶』は6位、三作目の『紅蓮館の殺人』は3位。同作は第20回本格ミステリ大賞にもノミネートされている。

 また、海外編では、ミステリファンから高い評価を得ている『カササギ殺人事件』『メインテーマは殺人』の著者・アンソニー・ホロヴィッツさんの『その裁きは死』(東京創元社)が1位に選ばれている。本作は離婚専門の弁護士が殺害された事件を元刑事のホーソーンが、壁には描かれた“182″の謎の数字を手がかりに事件の謎に挑む犯人当てミステリ。

 著者のアンソニー・ホロヴィッツさんは、1955年英国ロンドン生まれの小説家・脚本家。ヤングアダルト作品『女王陛下の少年スパイ!アレックス』シリーズがベストセラーになったほか、人気テレビドラマ『刑事フォイル』『バーナビー警部』の脚本を手掛ける。2014年にはイアン・フレミング財団に依頼されたジェームズ・ボンドシリーズの新作『007 逆襲のトリガー』を執筆している。また、アガサ・クリスティへのオマージュ作『カササギ殺人事件』では『このミステリーがすごい!』『本屋大賞“翻訳小説部門”』の1位に選ばれるなど、史上初の7冠を達成。ホーソーン&ホロヴィッツ・シリーズ第1弾『メインテーマは殺人』でも、年末ミステリランキングを完全制覇している。

 そのほか、「2021 本格ミステリ・ベスト10」では、我孫子武丸さんと阿津川辰海さんのインタビュー、探偵小説研究会がセレクトした「ガチ推し本」などが掲載されている。

Book Bang編集部
2020年12月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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