【気になる!】コミック『チ。-地球の運動について-(1)』
[レビュアー] 産経新聞社
「地動説」をテーマにした漫画。物語の舞台は、宇宙は地球中心に回る「天動説」が信じられていた中世ヨーロッパ。世渡り上手の秀才ラファウは、“狂人”の元学者に天体観測を強制されたことがきっかけで、地動説の理論を「美しい」と感じてしまう。だが地動説は当時、異端思想とされており、ラファウにも弾圧の魔の手が伸びる…。
拷問シーンもあり万人向けではないが、メリットがないのに文字通り命懸けで地動説を証明しようとする人々の姿に心打たれる。世界を敵に回してでも貫きたい美学を持った人々の「信念」が描かれた作品。(魚豊(うおと)著・小学館・591円+税)