【話題の本】『英語独習法』今井むつみ著(岩波新書)

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 ■今からでも遅くはない!

 いくら勉強しても英語ができるようにならない-。そんな悩みを抱えている人は多いはずだ。海外留学もコロナ禍で厳しい時代。そこで、楽しみながら独習できるよう、学ぶときの記憶や理解の仕組みという、これまで見過ごされてきた点に着目した、心理学的に合理的な学習法を紹介する。

 根本にあるのが認知科学でいう「スキーマ」の習得。言葉の複数の用例を集め、使われる頻度や構文、一緒によく出てくる言葉などを調べると共通のパターンが浮かび、英語特有のスキーマが次第に分かってくる。役に立つのが言語情報のオンラインデータベース「コーパス」。いわば言葉の背景が分かれば使い方が分かり、読み書き、聞き取り、会話の能力向上、さらには日本語話者とは異なる、英語母語話者の世界での認識の仕方も見えてくる。

 そうした効果への期待が発売から2カ月で8万部を超える売れ行きに表れているようだ。「英語が自由に使えるようになりたくていろいろ熱心にやってきたが、伸び悩んでいるという人に、もう一段上にいく学習法を紹介しています」と編集担当者。今からでも遅くはない、心強い一冊だ。

 蔭山実

産経新聞
2021年2月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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