直木賞受賞作『心淋し川』は「温もりが静かに心を満たす連作」[文芸書ベストセラー]

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 2月21日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『推し、燃ゆ』が獲得した。
 第2位は『心淋し川』。第3位は『元彼の遺言状』となった。

 2位の『心淋し川』は第164回直木賞受賞作。江戸時代の千駄木町を流れる「心淋し川(うらさびしがわ)」の一角に立ち並んだ古びた長屋に暮らす人々を描く。割り切れない思いを抱えた人々が淀んだ川のほとりで懸命に生きる姿を描いた感動連作となっている。

 書評家の大矢博子さんは《同じ場末に流れてきた人々だが、それぞれに抱えているものが違う。興味深いのは、不遇な状況にありながらも一発逆転を狙うのではなく、この場所でやりなおそうとする姿を描いている点》と連作に通底する滋味を紹介。彼らの心の淀みが晴れる姿が描かれる《温もりが静かに心を満たす連作》と評している。

■【大矢博子さんによる書評全文】西條奈加『心淋し川』
https://www.bookbang.jp/review/article/637926

1位『推し、燃ゆ』宇佐見りん[著](河出書房新社)

逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を”解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――。デビュー作『かか』が第33回三島賞受賞。21歳、圧巻の第二作。(河出書房新社ウェブサイトより)

2位『心淋し川』西條奈加[著](集英社)

江戸の片隅、小さなどぶ川沿いに建ち並ぶ長屋。 住人たちは人生という川のどん詰まりでもがいていた。 懸命に生を紡ぐ人々の切なる願いが胸に沁みる感動連作!(集英社ウェブサイトより)

3位『元彼の遺言状』新川帆立[著](宝島社)

亡くなった元彼は誰かに殺された!? 犯人だけがその財産を譲り受けられるという奇妙な遺言を受け、 女性弁護士が依頼人と共謀して分け前を狙う破格の遺産相続ミステリー!(宝島社ウェブサイトより)

4位『異世界に転移したら山の中だった。反動で強さよりも快適さを選びました。(3)』じゃがバター[著]岩崎美奈子[イラスト](ツギクル発行/SBクリエイティブ発売)

5位『オルタネート』加藤シゲアキ[著](新潮社)

6位『今度生まれたら』内館牧子[著](講談社)

7位『この冒険者、人類史最強です 外れスキル『鑑定』が『継承』に覚醒したので、数多の英雄たちの力を受け継ぎ無双する』日之影ソラ[著]エシュアル[イラスト](KADOKAWA)

8位『何がおかしい 新装版』佐藤愛子[著](中央公論新社)

9位『ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人』東野圭吾[著](光文社)

10位『お探し物は図書室まで』青山美智子[著](ポプラ社)

〈文芸書ランキング 2月16日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2021年2月20日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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