『小隊』
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『小隊』砂川文次著
[レビュアー] 産経新聞社
北海道にロシア軍が上陸し、先の大戦後初の地上戦を経験することになった日本。「ロシア軍、来るんですか」「一応そういう情報だったな」-。主人公である自衛隊の3尉・安達は、さしたる決意もないままに自らの小隊を率いて迫り来るロシア軍と対峙(たいじ)する。
思うように情報が入ってこない中で命令をこなす主人公の葛藤と陰惨な戦闘。それでも変わらず回り続ける経済。説明を排したハードボイルド調の文章が印象的な物語は、突然襲いかかってくる理不尽な現実に人はどう向き合うのか?という問いも投げかける。元自衛官の作家による第164回芥川賞候補作。(文芸春秋・1500円+税)