【産経の本】『中国人とモンゴル人』楊海英著 習体制の思想的背景理解にも

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 内モンゴル出身でモンゴル研究の第一人者が、自らの民族に対する中国の横暴、暗黒の歴史を一次資料に基づき理論的につづった労作だ。中国文化大革命期のモンゴル人へのジェノサイド(民族大量虐殺)について詳しく述べている。

 中国は昨年6月、内モンゴル自治区でモンゴル語教育を廃止する政策を決定。あるゆる権利を奪われてきたモンゴル人は「民族の言葉」という最後の砦(とりで)も剥奪されそうになり、抗議の声をあげた。だが容赦なく弾圧され、逮捕、拉致、強制収容施設での洗脳も。これは新疆ウイグル自治区、チベットの前例を踏襲した中国人のやり方で、モンゴル人絶滅計画は今も続いている。

 本書では日本とかかわったモンゴル人を中国人がどのように断罪したかも語る。また、中国は近年、「歴史決議」の見直しを求めたことで制度的にも文革時代への復帰が可能となった。現在の中国政治を理解するためにも、本書を通じ文革を考えることは意義がある。習近平国家主席の父親で文革の被害者でもあった習仲勲にも言及しており、習近平体制の思想的背景を理解する上でも役立つだろう。『モンゴル人の民族自決と「対日協力」』を改題・改訂。(産経NF文庫・940円+税)

産経新聞
2021年2月27日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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