【話題の本】『かぐわしき植物たちの秘密』田中修、丹治邦和著

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 ■香りの魅力と効果を考察

 木々が芽吹き、花々が開花する春は、香りも魅力的だ。そんな植物の香りにこだわって、最新の研究に基づいた考察を植物学者の田中修さんと、弘前大学大学院脳神経病理学講座の医学博士、丹治邦和さんが執筆。田中さんは「植物の香りには、アンチエイジングやダイエット、記憶力を高める効果があることが研究で分かってきています」と話す。

 例えば、ラットを使った大阪大学と新潟大学の共同研究で、グレープフルーツの香りに体重増加を抑える効果がみられた。ローズマリーの香りは、英国の大学で記憶力と集中力を高めることが実証されたという。

 面白いのは、その苦味から苦手な子供が多いというピーマン。ピーマンに含まれるクエルシトリンが、ピラジンという香りと一緒になったときに「苦い」と感じられるのだという。「ピーマンは鼻をつまんで食べると苦みを感じない」といわれてきたが、そうした言い伝えが科学的に裏付けられた形だ。

 編集者の神谷有二さんは「昔から民間で語られてきた身近な植物の香りの効果が、大学や研究機関で実証されたことで、注目して読んでもらっています」と話している。(山と溪谷社・1300円+税)

 横山由紀子

2021年3月13日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです
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