年間パス紛失で涙……8歳の女の子と母が感動したUSJクルーの神対応

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ゲストの数だけ素敵な出来事と感動がある ※画像はイメージです

 今年3月31日、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が開業20周年を迎えます。

 映画からそのまま飛び出てきたかのような空間、趣向を凝らしたアトラクション、大人気アニメやアーティストとの数々のコラボイベント、そして、奇跡のようなクルーとの出会い――。

 この20年間USJでは、ゲストの数だけ素敵な出来事と感動がありました。どんなときも来た人を幸せにしてくれる、そんなUSJで実際にあった心温まるエピソードを、『USJで出会った心温まる物語』(USJのツボ著/あさ出版)より1つ、ご紹介いたします。

年間パス紛失事件

「ねえ、ユキ! 今度の土曜日、また行こうよ!」

「えー、しょうがないなあ。お母さんにつきあってあげるか~」

 誘った場所はUSJ。渋々という感じを演出しながらも、USJに行けるうれしさに笑顔になるのをおさえきれない娘の様相に、私は吹き出しそうになりました。

 娘は高校1年生。小学生の頃は、私と一緒にしょっちゅうUSJに遊びに出かけたものですが、最近は、親よりも友だちと遊ぶほうが楽しいらしく、昔ほど一緒に行くことはなくなりました。

 母親として、娘が成長し、親から離れ、自立していく姿はとってもうれしい反面、さみしくもあります。あと何年、こうやって娘と2人で楽しめるかしら、と思うと胸がキュッとなります。

 USJにはじめて行ったのは、娘の4歳の誕生日祝いのときでした。

 初回ですっかり虜になった娘にせがまれ、足を運ぶうちに「年パスのほうが断然おトク!」と、娘が小学校に上がったのを機に年間パスを購入するように。

 それからというもの、週末はいつもUSJ漬けです。

 最初は娘のために通っていましたが、そのうちにすっかり私もハマってしまい、週末が待ち遠しくなっていました。

 いつも通りUSJに向かった、ある日のこと。

「疲れたから、ちょっと休憩したいな」と言う私に向かって、

「わかった! じゃあママは、ここで待ってて。私はおみやげ、見てくるから!」

 と、駆け出す娘。

(ついこの間まで私にベッタリだったのに、小学校3年生ともなると、1人で行動できちゃうのね。女の子の成長は早い、早い)

 そんなことを思いながら娘が戻ってくるのを待っていました。

 しばらくすると、クルーのお姉さんと一緒に手をつないだ娘が戻ってきました。

「ユキ、どうしたの?」

 娘は涙を必死にこらえようとしているのか、うつむいたまま言葉を発せずにいます。

「あの、娘が何かご迷惑をおかけしましたか?」

 隣のクルーのお姉さんに聞くと、事情を説明してくれました。

「じつは……」

 娘が向かったのはショップではなく「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド」、通称「ハリドリ」だったとのこと。USJでも人気の高いジェットコースター型アトラクションです。

 私に内緒で意気揚々と向かったものの、身長制限で引っかかり、残念ながら乗れなかったそうです。

 うなだれながら私のもとへ戻ろうとしたとき、娘は年間パスをホルダーごと、どこかに落としてしまったことに気づきました。

 年間パスは再発行してもらえるのですが、そのことを知らない娘は、「ママに叱られちゃう!」と焦って、必死であたりを探し始めました。1人で、植え込みの中をのぞいたり、ベンチの下を見たりしていたそうです。

 そんな娘に気づき、声をかけてくれたのが、クルーのお姉さんでした。

 目に涙を浮かべながら事情を説明する娘に、「1人で心細かったね。お姉さんと一緒に探そう!」と明るく声をかけ励ますと、不安そうな娘の手をにぎり、一緒に探してくれたそうです。

 しかし、なかなか見つかりません。

 何度も泣き出しそうになる娘に、

「大丈夫。お姉さんに任せて。きっと見つかるから!」

 と、そのたびにクルーのお姉さんはやさしく励ましてくれながら、ゲストサービスに届けられているかもしれないと問い合わせてみたり、他のクルーにも声をかけて娘が通った道を何度も探してくださったとか。

 娘も、絶対に見つけようと必死に頑張ったそうです。

 そして――。

「あった!」

 娘の行動範囲から、やっぱりハリドリの付近に違いないとあたりをつけ、改めて入念に探したところ、入口近くの通路の片隅に落ちているのを見つけ出しました。

「よかったね~~~! これで安心してお母さんのところに行けるね」

 お姉さんは、ぎゅっと娘をハグしてくれたそうです。

 お姉さんが事情を説明し終わっても、娘はまだうなだれています。

 身長制限でジェットコースターに乗れなかったこと、年間パスをなくしてしまったこと、何より私に内緒でジェットコースターに乗りに行ってしまったこと……。

「ママに叱られる」という不安や1人だった心細さなど、いろいろな気持ちがないまぜになっていたのでしょう。

「ユキ」

 私が名前を呼ぶと、やっと顔を上げ、私と目が合うや大粒の涙を流しながら飛びついてきました。

「お母さん。娘さん、見つかるまで粘り強く探して立派でしたよ。怒らないでくださいね」

 怒るもなにも……。

 私は、無言で娘を抱きしめました。

 まだ8つです。お姉さんと会うまでは1人でさぞかし心細かったでしょう。

 なかなか見つからなくて、心が折れそうになりながら、でも負けずに頑張って最後まで探し続けた娘。1人ぼっちだったら、途中であきらめてしまっていたかもしれません。

 見つかるまで頑張ることができたのは、クルーのお姉さんがずっと一緒に付き添ってくれたからです。

 抱き合う私たちを見て、お姉さんはニコニコしています。

 私たちは、彼女に何度もお礼を言いました。

「いいえ、見つけることができたのはユキちゃんがあきらめなかったからですよ。頑張ったね。えらい、えらい! もう少し大きくなったらまた乗りに来てね。お姉さん、待ってるから!」

 お姉さんの言葉に、娘は、やっと笑顔を見せました。

 2月と早生まれの娘は、同級生の中でもいちばん身長が低く、学校でみんながハリドリに乗った、と楽しそうに話しているのを聞いて、「私も早く乗りたい!」と悔しい思いをしていたようでした。

 いつまでも小さくて幼いと思っていた娘が、この日、私と離れてクルーのお姉さんと一緒に年間パスを探したことで、少し大人になったように思いました。

 高校1年生になった娘は、私の身長と同じぐらいに大きくなりました。

 まだまだ成長期ですから、母親の背を追い抜き、いつか巣立っていく日もあっという間にやってくるのでしょう。

 それまであと少し。

 なかなか子離れできない私は、今日もつい娘をUSJに誘ってしまうのです――。

 いかがでしたでしょうか。

 ご紹介したエピソードは、USJで数多くあった出来事の1つにしか過ぎません。

 本書では、USJファンのゲストが実際に体験した全24のエピソードを紹介しています。

 本書を読み終わる頃には、何度もUSJに足を運んでいるファンの方々も、久しくUSJを訪れていない人も、また、USJにまだ一度も行ったことがない人も、きっとこの素晴らしい場所を訪れたくなることでしょう。

USJのツボ
大阪生まれ。2001年3月31日、USJのオープン初日に行き、その素晴らしさに感動し、USJの情報を発信することを決意。ホームページ、ツイッター、ブログでUSJのさまざまな情報を発信している。フォロワー数21万人超を誇るツイッターでは、USJのリアルな情報をほぼ毎日発信。USJの最新情報とその魅力を、全国のUSJファンに伝え続けている。

USJのツボ

あさ出版
2021年3月24日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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