大阪北部にある老舗遊園地「ほたるいしマジカルランド」が舞台。アトラクション担当者や清掃員など、そこで働く人たちの奮闘と成長をつづったお仕事小説だ。
メリーゴーラウンドが好きなのに担当になれない男性、定年直前の植栽管理担当者…。章ごとに語り手が変わる構成。どこか心に鬱屈としたものを抱えている人たちが、ささいなきっかけで一歩前に踏み出していく。
「なんのためにもならないものが、ごくあたりまえに存在している」「それこそが豊かさだ」という遊園地の名物社長の言葉は、今の時代だからこそ余計に心に響く。(ポプラ社・1760円)
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2021年4月4日 掲載
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