貯金が一番のお金の無駄遣い。ホリエモンが考える「お金の活かし方」とは

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「大学生になって以降、貯金は一切やめた」と語る堀江貴文氏

 あまたの事業を成功させてきた起業家、堀江貴文。ITビジネスに宇宙ロケット開発、オンラインサロンの運営など、それまでにない手法で困難とされてきた事業を次々と実現してきた。それを可能にしたのは、莫大な資金や、特殊な才能ではない。ただ、好きなことに「没頭」してきたからだ。

 彼の主張は、次のように一貫して、シンプルだ。
 3歳児の気持ちで、のめり込め。
 常識とか世間体なんか、ぜんぶ無視だ。

 近刊『非常識に生きる』(小学館集英社プロダクション)では、「生き方改革」として、常識に縛られず自分の人生を生きるための41の行動メソッドを指南している。
※本稿は堀江貴文『非常識に生きる』の一部を再編集したものです。

「貯金は美徳」は間違っている

 僕の通っていた福岡の小学校では、親戚からもらったお年玉を郵便貯金するように教えられていた。40年近く昔の話だ。
 新学期、生徒たちは茶封筒にお年玉を入れ、講堂に集められた。講堂には郵便局員が来ており、そこで口座をつくって、お年玉を貯金する手続きをさせられた。僕は「なんで郵便局に貯金しないといけないの?」と、不思議でならなかった。せっかくもらったお年玉を、なかば没収されるような形で、貯金することになってしまった。少しもありがたくない。
 学校の先生も、両親も、世間の大人は「貯金は大事です」と言う。それは、大間違いだ。少なくとも人生にとって、大事な行為ではない。

 貯金が趣味だったり、何らかの目的があって貯めているのはいいと思う。でも、使い道がないのに預金通帳にお金を余らせ続けるのは、本当にバカバカしいことだ。
 郵便貯金は第二次世界大戦中、戦費調達のキャンペーンから全国に普及したものだ。戦争がなくなった現在は、国債を償却するために、国民から預けられたお金を勝手に運用している。詐欺とまでは言わないが、そんな「横取り」を普通にやっている機関に、せっかくのお年玉を吸い取られてしまった。あの悔しさと疑問は、大人になってからも、ずっと頭の隅に引っかかっていた。

 多くの著書で説いているが、銀行などの金融機関に預けているお金は、単なる債権だ。貯金は、いざというときのための資金だというけれど、通帳の金額が多ければ多いほど、それだけ銀行に対して、債権を背負っているのと同じなのだ。
 貯金は生活の安心につながると、大人は言うかもしれない。しかしその金額ぶん、債権者としての負担を増やしているのだ。返してもらわないといけないお金を増やして、手元に使えるお金を減らす。それが、なぜ安心なのだろう?
 僕の言い分は、極論すぎるかもしれない。しかし批判されようと、言い続ける。
 貯金が美徳というのは、間違っている!

体験のために、好きなだけ使ってしまおう

 銀行に預けていれば融資という形で、お金は世の中に回るかもしれない。だが融資の恩恵を受けるのは、限られた大手企業だ。庶民の消費が活性化しなければ、意味がない。大多数の会社の業績は上がらないし、雇用も生まれない。
 使わない限りお金は、活きてこないのだ。貯金は、お金の無駄遣いだ。

 僕は大学生になって以降、貯金は一切やめた。
 アルバイトで多少まとまったお金を稼ぐと、仲間と遊びに行き、見聞を広めるために使い尽くした。もとより、貯金向きの性格ではない。活きない貯金を守るより、活きたお金を使った方が、絶対に楽しくて幸せだと信じていた。
 使うだけ使いまくって、正しかったと思う。お金を使って得た経験によって、コミュニケーション能力も、出会う人のランクも高くなった。

 起業して以降、収入はうなぎ登りだった。貯金通帳はほとんど見ていないが、学生時代からすれば、信じられない額のお金が入金され続けていた。ずっと貯めていれば、40代で指折りの富豪になっていたかもしれない。でも僕にとっては、貯金額を増やすより、そのときだけに得られる出会い、興奮や体験を積み重ねることの方が大事だった。僕の得てきた多くの体験は、もう同じ額のお金を投じても取り戻せないのだ。
 いまという時間を楽しみ尽くすために、好きなだけ使ってしまおう! 無駄な貯金で、お金の活力を死なせてはならない。

欲しいモノは、何でも秒で買うこと

「金で買えないものはない」は、僕の考えではない。
 しかし「金で買える、欲しいものは全部買え!」というのは、僕の意見だ。
 多くの人が買い物を我慢しているのは、貯金の呪縛によるものだ。消費することで財布の中身は減り、貯金が削られる。持ち金が減ることの恐怖心は、現代人はすさまじい。買い物での無駄な出費は、代表的な「損」のひとつなのだろう。

 貯金が10万円しかないのに、100万円のジュエリーを買うのは、たしかにバカげている。分不相応な買い物は身を滅ぼすだけだ。しかし、持ち金は足りているのに、「これから何か大事なことで出費するかもしれない」「貯金はなるべく崩したくない」というブレーキで、欲しいものを我慢するのは、間違っている。

 モノが欲しいというのは、その人にとって有益な情報が、モノに付与されている表れなのだ。便利だったり、快適さを高めてくれたり、新しい出会いを引き寄せたり、ポジティブな効用のある情報を手に入れるチャンスである。みすみす見送ってしまうのは、バカバカしいことだ。
 貯金を丸ごと使いきれとは言わないが、些細なブレーキで欲しいモノを我慢してはいけない。特に最新のガジェットは、欲しい! と思ったら、すぐ買うべきだ。
 できる経営者や投資家は、みんな持ち物は少ないけれど、デジタル製品など新しいガジェットは、誰よりも早く入手している。情報感度の高い人間には、レベルの高い情報と人脈が集まるようになるのだ。

 欲しいモノは、その場で買ってしまおう。優れた情報、または体験を得るチャンスを逃してはいけない。
 情報は、狩りにいくものだ。狩猟者の意識でインプットを行い、頭のなかで料理して、アウトプットにつなげる。
 そうしなければ情勢の変化の激しい現代を、生き抜いてはいけない。
 貯金の洗脳を振り払い、欲しいモノには惜しまず出費しよう。

堀江貴文(実業家)
1972年福岡県八女市生まれ。実業家。SNS media&consulting株式会社ファウンダー。元・株式会社ライブドア代表取締役CEO。宇宙ロケット開発やスマホアプリのプロデュース、予防医療普及協会理事として予防医療の啓蒙など多岐にわたって活動中。また、有料メールマガジン「堀江貴文のブログでは言えない話」の発行や、会員制オンラインサロン「堀江貴文イノベーション大学校(HIU)」では1,500名近い会員とともに多彩なプロジェクトを展開中。著書に『ゼロ』『本音で生きる』『多動力』などがあり、ベストセラー多数。

堀江貴文(実業家)

小学館集英社プロダクション
2021年4月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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「ShoPro Books」を掲げ、マーベルやDCなどの海外コミックスの翻訳・編集を1994年から手がけています。また、児童向けナゾトキ学習本や、歴史に埋もれた事実を掘り起こすノンフィクション、専門医による実用健康書、小学館の通信教育と連動した漢字ドリルなど、多岐にわたるジャンルで一般書籍の出版も行っています。