運河のある北の町。世界にたった一つのオルゴールをつくってくれる店がある。店主は、人の心に流れる音楽を聴くことができる力の持ち主。悩みを抱えた客に寄り添い、耳を澄ませて、一人一人にぴったりな曲をセレクトしていく。
懐かしい音楽を耳にしたとき、思い出が当時の心の動きも伴ってよみがえることは誰にでもあるだろう。
難聴の男の子、折り合いが悪いまま父親と死別した銀行マン、病の妻を案じる老人…。登場人物の心に流れる音楽とは? そして手にしたオルゴールはどんなメロディーを奏でるのか。こぼれる涙も心地よい。(瀧羽麻子著、幻冬舎文庫・737円)
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2021年4月18日 掲載
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