【産経の本】『「美しい日本」パラオ』井上和彦著 「世界一の親日国」の理由

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 なぜ太平洋の島国パラオは「世界一の親日国」といわれるのか。パラオ共和国を15年以上にわたって取材した著者が、その理由を解き明かしている。

 太平洋戦争でペリリュー島、アンガウル島を中心に日米両軍の攻防戦の舞台となったパラオ諸島。ペリリュー島民は日本軍守備隊とともに戦いたいと進言した。ところがある将校から「帝国軍人が貴様らと一緒に戦えるか」と叱責され、無理やりパラオ本島行きの船に乗せられた。島民の命を救うためだったと後で分かり、日本軍人への感謝と畏敬の念で涙が止まらなかったという。バベルダオブ島では日本兵が「あんたたちの分をとれば、それだけ不足する」とバナナの差し入れを断った挿話も。

 日本軍は圧倒的な劣勢にもかかわらず勇猛果敢に戦った末、玉砕した。島民や日米元兵士たちの証言から、今では忘れられた“美しい日本”と、死力を尽くした日本軍の姿が浮かび上がる。また、平成25年に巨大台風の被害に遭ったペリリュー島で、島民の命を守ったのは日本軍が作った防空壕(ごう)だった…。かつて日本の委任統治領として四半世紀も歴史を共有してきたパラオが、今も「日本びいき」である理由がよく分かる。(産経NF文庫・891円)

産経新聞
2021年5月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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