たった3音の訓練で歌がうまくなる「ボイトレの奥義」

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photo by Elnur/Adobe Stock

「高い声を出したい」

「自分の音域を広げたい」

「歳をとっても最盛期の声を出し続けたい」

ボイストレーニングの動機は人によって様々ですが、「人を魅了する声でうまく歌いたい、よりよい声で話したい」という欲求は、プロの歌い手に限らず、誰しも持っているものではないでしょうか。

『「3つの音」だけで最高の声になるボイストレーニング ゴルジャメソード入門』の著者で、カリスマボイストレーナーの武田梵声氏は、「シ、ミ、レ」の3音を鍛えれば、歌がうまくなると言います。なぜ、歌がうまくなるのでしょうか?

そのノウハウの一部を武田氏の著書から紹介しましょう。

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なぜ、思うように歌えないのか?

声には「地声(じごえ)」と「裏声(うらごえ)」があります。

音楽の世界で、地声は「胸声」「チェストボイス」、裏声は「頭声」「ヘッドボイス」ともいいます。じつは、歌がうまく歌えない原因の1つは、この2つの声の切り替えがスムーズにいかないことにあります。

そのメカニズムについては後述しますが、地声と裏声を自由に切り替えられるようになれば、あるいは融合(ミックス、ブレンド)できれば、ほとんどの人は、3~5オクターブ以上の声域で声を出せるようになるのです。

ボイストレーニングの主なニーズもそこにあります。ボイトレ学習者やカラオケ愛好家の間で、地声や裏声の使い分けが広く知られるようになって、2つの声をミックスする「ミックスボイス」という方法にも、注目が集まるようになりました。

声帯の機能をバランスよく使う

では、どうすれば、地声と裏声の切り替えをスムーズにできるのでしょうか。

声は、声帯の振動によって発せられます。それをつかさどる喉の筋肉運動はとても複雑なのですが、大きく分けて次の2つの運動があります。

●声帯を「引き伸ばす」運動=高い声が出る

●声帯を「閉じる」運動=大きく強い声が出る

基本的に、あらゆる声はこの2つの筋肉の運動から生まれます。つまり、これらのバランスが保たれていれば、声はうまく出るのです。

ところが、声帯を閉じる運動が強く働きすぎれば、高い声は出せません。逆に、弱すぎれば、声量が減るので、バランスが崩れて声が出にくくなります。これが、地声と裏声の切り替えがうまくいかなくなる原因です。

じつは、このバランスの崩れは、地声と裏声の変わり目である「裂け目」で、ある音程を発するときに起こりやすくなります。その音が「シ、レ、ミ」です。

この3音は「声のコア」であり、正しく発声できれば、声に関するほとんどすべての問題が解決するといってもよいくらい、とても重要な音なのです。

「シ、レ、ミ」を鍛えればうまくなる

また、裏声と地声は「同等な力を持ったときに連結する」という基本的な法則があります。

ところが「シ、レ、ミ」の裏声は、たいていの人は極めて弱いため、訓練を積まないと地声と裏声を切り替えるときに裂け目が生まれ、声が裏返ってしまいます。

そこで、声帯を動かす喉の筋肉を鍛えて、理想的な声帯と喉の状態にするため、武田氏が指導するボイストレーニング法ゴルジャメソードでは、「シ、レ、ミ」の裏声の強化に取り組んでいるのです。

「シ、レ、ミ」の3つの音を正しく発声できれば、音域が広がり、声量の加減をしやすくなります。ビブラート、コブシ、シャウトなど、さまざまな声のテクニックを身につければ、音色に変化をもたせることもできるでしょう。

豊かな声や張りのある声など、話をするときにも、自在に使い分けられるようになります。

「喉の筋肉」に着目したゴルジャメソード

世界的な三大ボイストレーナーとして知られる、フレデリック・フースラー、コーネリウス・リード、ハーバード・チェザリーらの方法も、「裏声を鍛える」ことを重視しています。

ゴルジャメソードは、彼らの難解なボイトレ理論からいわば「コア」な部分を取り出し、あらためて光を当てたものでもあります。腹式呼吸ではなく、喉の筋肉を鍛えることで音域を広げ、自分が望む最高の声を手に入れる方法です。

従来の歌唱法で成果が出なかった方は、ぜひボイトレに取り入れてみてはいかがでしょうか。

武田 梵声(たけだ ぼんじょう)
フースラーメソード指導者、ゴルジャメソード指導者、芸能学指導者、パフォーマンス教師、瞑想指導者。國學院大学で折口信夫の古代芸能学、エラノス理論を学び、クレッチマー流派でゴルジャメソード、フースラー発声学を学ぶ。桐朋学園大学で民族音楽学、民謡分析法カントメトリックシステム、舞踊分析法コレオメトリクス、アルトー演劇学を、東洋大学印度哲学科で、インド哲学、インド瞑想理論を学ぶ。
古代芸能学を軸に、歌唱、発声、舞踊身体論、演劇、瞑想といった各芸能ジャンルにおいて聖典とされてきたメソッドを統合した古代芸能者養成法マレビトシステムを考案し、ほとんどすべての芸能ジャンルの指導を行なってきた。
劇団四季、帝劇、宝塚、アナウンサー、声優、プロ歌手はもとより古典芸能、アングラ演劇、アバンギャルドなど、幅広い分野で指導を行なう。民謡コンクールや民俗芸能、民族音楽、寄席芸などの国内外のコンクール優勝者を多数輩出する。
主宰するオルフェ歌唱芸能研究所、私塾野生の声音では、身体論の聖典ラバンシステム(ラバンのエフォート理論)、ディヴァインスパーク瞑想、歌唱発声学の聖典フースラーメソードやゴルジャメソード、イクステンデッドゥボーカルテクニックなどの指導を世界最高水準で行なっている。
著書に『こどものための究極☆正しい声のトレーニング』『ボーカリストのためのフースラーメソード』(リットーミュージック)、『フースラーメソード入門(DVD付)』(日本実業出版社)、『野生の声音~人はなぜ歌い、踊るのか~』(夜間飛行)がある。

日本実業出版社
2021年6月9日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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