【話題の本】『縄文文化が日本人の未来を拓く』小林達雄著

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■“野蛮”イメージ覆す

 縄文時代の狩猟採集生活のイメージを覆す内容だ。「北海道・北東北の縄文遺跡群」が5月26日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界文化遺産に登録するよう勧告を受けたのを契機に重版が検討されている。

 約1万年に及ぶ縄文時代は、大陸側では旧石器時代から中国の春秋戦国時代までに相当する。この間に大陸側で起きた農耕の始まりと定住化を関連付ける歴史の考え方がある。

 一方、縄文人は狩猟採集を続けていたため、大陸から農耕が伝わる以前は食料を求めて移動していた野蛮な時代というイメージが根強い。しかし、縄文遺跡群では定住生活を示す集落跡や世界最古級の土器が出土している。7月の世界遺産委員会で登録が正式決定される見通しだ。

 本書によれば、多種多様な動植物や魚介類を計画的に確保して定住。ストーンサークルのような「腹の足しにならないもの」を造って世界観を表現し、豊かに暮らしていた。考古学者の著者は、縄文の文化的遺伝子が現代に受け継がれていると主張。自然との共生と高度な精神文化を特徴とする縄文人の生き方を、平易に解説している。3年前の刊行だが、縄文遺跡群の理解に役立つ。(徳間書店・1320円)

寺田理恵

産経新聞
2021年6月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

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