【話題の本】『マスターズ』本條強著 予想外の優勝で注文数倍増

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 「マスターズ」。松山英樹選手の日本人初優勝の余韻が残る。ゴルフの盟主が世界一の座を争う大会。その物語と魅力をスポーツライターの著者が余すことなく紹介。大会を知る格好の書になった。

 「大会を前に盛り上げていこうと間に合わせた。松山選手はいつ勝ってもおかしくないので、いつかは出したいと思っていたが、優勝は予想していませんでした。すごくラッキーです。注文もそれ以前の数倍は増えています」と出版社担当者。

 伝説のアマチュアゴルファー、ボビー・ジョーンズが故郷で仲間とゴルフをしようと考え、1934年に始まる。四大トーナメントへと成長するが、それを支えたのは地元の人々だった。入場券を購入する出資者の位置づけからパトロンと呼ばれ、その独特の存在が歓声となって大会の行方を左右してきた。それゆえにコロナ禍での運営が注目されてもいる。

 コースの全ホールの図と解説や歴代優勝者一覧の巻末資料が参考になるが、興味深いのは、歴代優勝者らの〝ゴルフ上達の名言〟。「愉(たの)しんでこそゴルフ。悩まず、苦しまず、怒らずに」とはジョーンズの言葉。ゴルフをしなくとも得るところの多い一冊である。(ちくま新書・968円)

(蔭山実)

産経新聞
2021年6月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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