『わたしのかみがた』
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
【児童書】『わたしのかみがた』樋勝朋巳作 鳥の巣頭ができるまで
[レビュアー] 正木利和(産経新聞編集委員)
天然パーマのおかげで、髪の毛には苦労させられっぱなしである。長くなると、もじゃもじゃにふくらむ。「鳥の巣みたい」とからかわれても、笑っているしかない。かと思うと、湿気が増えてきたら、ぺちゃんこになる。いつまでも決まらない髪形に、こんな髪に生んだ親を鏡の前で毎日恨むはめになる。
ところが、本書の主人公の頭の上には本当に鳥の巣がある。最初のページから、いきなり帽子をとって鳥の巣頭をカミングアウト。そして次のページからは、鳥が頭の上に巣をつくるまでの変遷が事細かにつづられる。
短い髪を長く伸ばして、黄や赤や緑に染めたり、悲しい出来事があったら新しい自分になるため思い切って髪を切ったり。さらにパーマをかけてみたら、どこからか鳥がやってきて、その頭にすみついて…というお話。
鳥がどうすれば安心して自分の頭で暮らせるかを考えて、あれこれトライする主人公がほほ笑ましい。こんな、優しい人にならなきゃ。(ブロンズ新社・1430円)
正木利和