【話題の本】『闇の盾 政界・警察・芸能界の守り神と呼ばれた男』寺尾文孝著 バブル時代描き、一気読み

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著者の肩書は日本リスクコントロール社長。危機管理を専業とする会社だが、インターネットで検索してもホームページすら存在しない。口コミだけで依頼を受けてきたという謎の仕事人が、濃厚な半生をつづったのが本書だ。

警視庁を経て、秦野章元法相の私設秘書となった著者は、さまざまなトラブルを処理することに。その過程でイトマン事件の許永中(きょえいちゅう)・元不動産管理会社代表や、「兜町の風雲児」と呼ばれた中江滋樹氏ら数々の「闇紳士」と対峙(たいじ)する。

一般の人はまず関わることのない事件や出来事の舞台裏を、当事者の目線で描き出す「闇モノ」の一種である本書は6月2日に初版8000部で発売。書店からの注文が好調で、1カ月足らずのうちに3刷2万1000部を発行した。宣伝担当者によると、人気の理由の一つは「バブルの時代を細かく描いている」ことにあるという。

ノンフィクションではあるが、警察、検察に張り巡らされた人脈を生かすなどして、問題を次々に解決していくさまは、まるでミステリー小説を読んでいるかのよう。一気読み必至のエンターテインメント性にあふれている。(講談社・1980円)

森本昌彦

産経新聞
2021年7月3日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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