【気になる!】文庫『キッド』
[レビュアー] 産経新聞社
香港で中古カメラ店を営む城戸護は元自衛隊員。副業にしているボディーガードの仕事で久々に日本に帰国したとたん、クライアントが射殺され、殺人のぬれぎぬを着せられてしまう。捜査網をかいくぐり、真相に迫ろうとする城戸だが、彼を危険人物とみた警察は超法規的なハイテク監視網を起動させて…。
平成30年の産経新聞連載小説が文庫化。痛快なアクションシーンが連続するエンタメ作品でありつつ、現代社会の闇を鋭く照射する社会派の趣も。防犯カメラや通信傍受によって個人の情報が丸裸にされる監視社会の怖さは、フィクションと笑い飛ばせない。(相場英雄著、幻冬舎文庫・869円)