講談社2賞が決定 第43回ノンフィクション賞は野口修評伝とアメリカ国境のルポルタージュ

文学賞・賞

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 第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞が15日に発表され、細田昌志さんの『沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修 評伝』(新潮社)と村山祐介さんの『エクソダス アメリカ国境の狂気と祈り』(新潮社)に決まった。

『沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修 評伝』は、キックボクシングを創設し、沢村忠というスーパースターに加え、無名だった五木ひろしを日本レコード大賞歌手に育てあげた伝説のプロモーター・野口修の足跡と共に刻まれた、壮大な昭和裏面史を追った作品。

 著者の細田さんは、1971年岡山市生まれ、鳥取市育ち。鳥取城北高校卒業後、CS放送のキャスターをへて、放送作家に転身。ラジオ、テレビ、インターネット番組を手掛けながら、雑誌やWEBに寄稿する。著書に『坂本龍馬はいなかった』『ミュージシャンはなぜ糟糠の妻を捨てるのか』などがある。

『エクソダス アメリカ国境の狂気と祈り』は、米国とメキシコを隔てる3200キロの国境問題を取材し、麻薬組織が支配する砂漠、猛獣が棲むジャングルを越えて向かう理由の中にある過酷な真実を浮き彫りにしたルポルタージュ。

 著者の村山さんは、1971年東京都生まれ。立教大学法学部卒。三菱商事株式会社入社6年目に朝日新聞社に転職。ワシントン特派員として米政権の外交・安全保障、ドバイ支局長として中東情勢を取材する。国内では経済産業省や外務省、首相官邸など政権取材を主に担当した。GLOBE編集部員、東京本社経済部次長(国際経済担当デスク)などを経て2020年3月に退社。米国に向かう移民の取材で、2018年の第34回ATP賞テレビグランプリのドキュメンタリー部門奨励賞、2019年度のボーン・上田記念国際記者賞を受賞している。

 第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞の候補作は以下の通り

『女帝 小池百合子』石井妙子[著]文藝春秋
『起業の天才! 江副浩正 8兆円企業リクルートをつくった男』大西康之[著]東洋経済新報社
『沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修 評伝』細田昌志[著]新潮社
『ヤクザと過激派が棲む街』牧村康正[著]講談社
『エクソダス アメリカ国境の狂気と祈り』村山祐介[著]新潮社

 また、同日発表された第37回講談社科学出版賞は、毛内拡さんの『脳を司る「脳」 最新研究で見えてきた、驚くべき脳のはたらき』(講談社)が選ばれた。本作は、ニューロンだけではわからなかった脳の働きを紐解いた一冊。

 講談社ノンフィクション賞はノンフィクションを対象として、1979年に創始された文学賞。2019年、創業110周年という節目の年を迎えるにあたり「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」と改称された。

Book Bang編集部
2021年7月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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