【話題の本】『文藝別冊 総特集 大和和紀 デビュー55周年記念』 改めて知る作品の先見性

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

「はいからさんが通る」や「あさきゆめみし」など少女漫画史に残る名作を数多く手掛けてきた漫画家の大和(やまと)和紀(わき)さん。本書はデビュー55周年を迎えた大和さんの歩みや作品を総覧できるムック本だ。

編集担当者によると、購買層は大和さんの作品をリアルタイムで読んでいた40~50代の女性がメイン。発売前から書店の事前注文などが伸びて初版は2万部。発売後も1週間で重版が決まるなど好調だ。

大和さんが漫画家人生を振り返る3万字のロングインタビューや、大和さんと同世代の青池保子さん、山岸凉子さんという少女漫画界の〝レジェンド〟3人によるトークも反響を呼んでいるという。

イチ押しは、ファンが選んだ好きなキャラクターアンケート、編集部が厳選した心に残る名セリフ特集だ。3ページにわたる「愛の名セリフ」コーナーは胸キュン必至で見逃せない。

大和さんは代表作「はいからさんが通る」をはじめ、女性が自分らしく生きることを活写してきた。「寄せられた評論やエッセーでは、ジェンダーや階級を超えたフェアな描写に関する言及も多かった」と編集担当者は語る。大和作品の先見性を改めて知る一冊。(河出書房新社・1782円)

篠原那美

産経新聞
2021年8月7日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

産経新聞社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

産経新聞社「産経新聞」のご案内

産経ニュースは産経デジタルが運営する産経新聞のニュースサイトです。事件、政治、経済、国際、スポーツ、エンタメなどの最新ニュースをお届けします。