直木賞受賞作『テスカトリポカ』 宮部みゆきが 「一瞬のゆるみもない傑作」と最高の賛辞

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 8月17日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身6」』が獲得した。
 第2位は『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』。第3位は『みとりねこ』となった。

 4位以下で注目は10位にランクインした『テスカトリポカ』。第165回直木三十五賞を受賞した作品だ。メキシコの麻薬戦争に破れた主人公が、インドネシアのジャカルタに潜伏し、日本へ渡り臓器売買に関与する。アステカの神話が物語に不気味な彩りを添えたクライムノベルだ。

 作家の宮部みゆきさんは《麻薬という呪いと、血と生贄(いけにえ)を求める古代の神々。想像を絶する激しい暴力の果てに現れる血肉を備えた神の姿。登場人物ほぼ全員悪党なのに、奇妙な愛嬌(あいきょう)とユーモアがあって、恐ろしいのに魅力的だ。》と評し述べ、《単行本で五五〇ページ余、一瞬のゆるみもない傑作だ。》と最高の賛辞を送っている。
■【宮部みゆきさんによる書評全文】佐藤究『テスカトリポカ』
https://www.bookbang.jp/review/article/680610

1位『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身6」』香月美夜[著](TOブックス)

「婚約を解消し、王の養女になる」 エーレンフェストに帰還したローゼマインの報告は領主一族に混乱をもたらす。だが、決定は覆らない。中央に移動するまでに与えられた期間は1年。そんな娘の旅立ちを貴族の母・エルヴィーラは温かく見守る。 「貴女は貴女らしさを失うことなく、進みなさい」と。 神殿や印刷業務などの引き継ぎ、そのための最高品質の魔紙作りなど、着々と準備が進められていくのだった。 移りゆく時に翻弄される母と子、側近達、下町の面々ーー同行する者と残る者。それぞれの選択が未来の扉を開く! 書き下ろし短編×2本、椎名優描き下ろし「四コマ漫画」収録!(TOブックスウェブサイトより)

2位『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』佐藤愛子[著](小学館)

『九十歳。何がめでたい』の待望の続刊!  2016年に発売した『九十歳。何がめでたい』は2017年の年間ベストセラー総合ランキング第1位になり、現在までに130万部を超えるベストセラーになりました。  本作は、あれから5年、時は平成から令和にうつり、今秋98歳になる佐藤愛子さんが断筆宣言をした「さようなら、みなさん」を収録する「最後のエッセイ集」となります。(小学館ウェブサイトより抜粋)

3位『みとりねこ』有川ひろ[著](講談社)

猫の浩太は、一家の長男・浩美と生まれたときからずっと一緒。 もう二十歳を超えるけど、年齢を感じさせないピカピカの毛並みがご自慢。 いつも醤油にひたした肉球で、テーブルクロスにハンコをペタペタ。 さて、念入りな肉球ハンコのわけは――?  きっとあなたの宝物になる。猫とあなたの7つの物語。(講談社ウェブサイトより抜粋)

4位『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。12』夕蜜柑[著](KADOKAWA)

5位『兇人邸の殺人』今村昌弘[著](東京創元社)

6位『デスマーチからはじまる異世界狂想曲 Ex2』愛七ひろ[著](KADOKAWA)

7位『硝子の塔の殺人』知念実希人[著](実業之日本社)

8位『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ[著](中央公論新社)

9位『疼くひと』松井久子[著](中央公論新社)

10位『テスカトリポカ』佐藤究[著](KADOKAWA)

〈文芸書ランキング 8月17日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2021年8月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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