【話題の本】『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂シリーズ』廣嶋玲子作、jyajya絵 魅惑のお菓子、翻弄される客

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ふくよかな体つきに映える赤紫の着物。結い上げた髪は雪のように白いのに、顔はやけに若々しい。駄菓子屋「銭天堂」のそんな年齢不詳の店主、紅子(べにこ)がお客さんの願いや悩みを察しては、その人にぴったりの駄菓子をすすめる-。神出鬼没、魅惑の駄菓子屋を舞台にした児童書は平成25年5月に1巻目が刊行されて以来、累計350万部の人気シリーズに。NHKのEテレでアニメも放送中で、読者の裾野が広がっている。

4月に初版15万部で発売された最新の15巻では、銭天堂をつぶそうとする不穏な動きを知った紅子が行商に出る。友達の秘密を守りたい女の子。若き日の自信を取り戻したい母親。「なにか、かなえたいおのぞみがおありでござんすね?」。特徴的な口調の紅子が差し出すユニークな駄菓子は効果抜群。でも悩みが解消されたからといって使い方を間違えると…。不思議な力を持つお菓子に翻弄される人たちの姿が描かれる。

主な読者層は小学校の中・高学年だが、「お店に来るお客さんが老若男女多彩なのも魅力。ハッピーエンドかどうか予測がつかなくてドキドキしたという声が多い」と偕成社の担当者。苦い教訓を含んだ話も多く、大人も楽しめる。(偕成社・各990円)

海老沢類

産経新聞
2021年8月21日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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