およそ1世紀前に世界中で大流行し、日本だけで38万~45万人が死亡したとされる「スペイン風邪」。当時の作家たちが、歴史的な感染症に何を思い、作品にどう取り込んでいったかがうかがえるアンソロジーとして出版された。
2度もスペイン風邪にかかった芥川龍之介は友人らに宛てた書簡で症状を生々しく伝え、子供が感染した与謝野晶子は寄稿文で政府の対応を厳しく批判する。谷崎潤一郎や菊池寛らの小説は、感染症に苦闘する時代を描き出す。新型コロナウイルスに振り回されている今こそ読む意味がある。
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2021年9月5日 掲載
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