【話題の本】『新建築住宅特集 2021年9月号』

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『新建築住宅特集 2021年9月号』

■建築家が親の家をつくったら

日本の建築家による、最新の住宅作品を紹介し続けて36年。そんな老舗の建築専門誌が最新号で打ち出した特集「母の家・父の家」が、業界の内外でじわじわ話題になっている。千葉学、塚本由晴(よしはる)、堀部安嗣(やすし)、石上純也、藤村龍至(りゅうじ)らそうそうたる建築家が相次いで自身の親のための住宅を設計、期せずして同じタイミングで完成し(一部進行中のものも)、一堂に紹介されているのだ。

「最後くらい、息子の設計した家に住みたい」。そんな父のつぶやきに突き動かされ、およそ30年ぶりに父と同居するための家を建てた千葉の論考は、実の息子から老いた父への優しさやいたわり、敬愛が前面に出ていて胸を打つ。

「誰しも親の老いは切実なもの。家族として建築家として、老いに対し愛をもって向かい合う姿が見えてきます」と西牧厚子編集長。もちろん身内であるかないかで、建築家としての姿勢や仕事が大きく変わるわけではないが、「難しい建築論に終始せず、本人の生のエピソードに基づいているので受け入れられやすいのかもしれません」。先月下旬には急遽(きゅうきょ)、藤村の発案で親の家に関するオンラインシンポジウムも開催され、反響は続きそうだ。(黒沢綾子)

産経新聞
2021年9月4日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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