鈍感な人、無神経に「マウント」をとってくる人への3つの対処法

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

鈍感な人、無神経に「マウント」をとってくる人への3つの対処法

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

著者によれば、『繊細な人  鈍感な人 無神経なひと言に振り回されない40の考え方』(五百田達成 著、PHP研究所)は「繊細な人が、鈍感な人の無神経なひと言に振り回されなくなるための本」。

たしかに、無神経なひとことを口にする人はいるもの。そのため受け手側はモヤモヤとした嫌な気分になってしまったりするわけですが、「心ないひとことを、どうとらえるか」「相手の気持ちを、どう想像するか」というように“感じ方・考え方”の角度を少し変えるだけで、無神経なひとことも無理なく受け流せるようになるというのです。

その結果、傷つくことなく尊厳と自己肯定感を保つことが可能に。また、苦手な相手に振り回されず、距離をうまくコントロールできるというメリットも生まれるようです。

繊細な人独特の「気づきやすい」性格は、変えなくてOK。鈍感な人と敵対する必要もありません。

ちょっとした工夫で、人間関係が驚くほどうまくいく、そういう処方箋をまとめました。(「はじめに 他人を見るレンズの『解像度』」より)

具体的には、仕事やプライベートの場面で「鈍感な人が言いがち=繊細な人が振り回されがちなひとこと」が、40のシチュエーションに分けて紹介されているのです。

きょうはそのなかから、第3章「マウントを取ってくる」に焦点を当ててみたいと思います。

「私だってそうだった」

「仕事がつらい」と口にしたら、「俺だって若いころは悩んだもんだ」

「時間がなくて」と嘆いたら、「私だってそうだったよ。でも時間はつくらないと」

先輩や年長者に悩みを相談すると、こうした予想外の逆襲に遭うことがあります。

でも、「わかるよ」と共感してくれたかと思ったのに、すかさず“いかに自分の若いころのほうが大変だったか”のアピールが始まったのでは黙るしかありません。

それがメンタルの落ちているときだったりすれば、無意識のうちに「これくらいで悩んじゃダメなのか」という気持ちになって自分を追い込むことになるかもしれません。しかも、結局なにも解決できないのです。

そもそも、こちらの悩みに対して昔話や経験談を持ち出して説教してくる人は、自分が輝いていた記憶に浸りたいだけなのだと著者は指摘しています。

だとすれば、それは「親身になってくれている」ということにはならないはず。本当に親身になってくれる人は、自分の話はさておき、相談の内容に集中してくれるからです。

その場では失礼のないよう笑顔で「ありがとうございました、ためになりました」と表面的にお礼を言って、一刻も早くその場を切り上げる。

他人の思い出話につき合うよりも、早く帰って寝たほうがメンタル回復には効果的です。(65ページより)

くれぐれも、「私だってそうだった」を真に受けて「私の悩みなんてくだらないのか…」などと落ち込んだりするべからず。(62ページより)

「あなたにはわからない」

仕事で失敗した後輩をいたわろうとしたとき、「そのときの気持ちわかります? どうせ俺なんて…」などと返されてしまったとしたら困ってしまいます。

「わかるよ」と答えても、「わからない」と答えても、火に油を注ぐことになりそうです。「この人を支えたい」という気持ちに嘘はないのに。

そこで、そんな場合には「少しだけ距離をとる」ことを著者はすすめています。

「わからないでしょ」と言われたら、「わかる」とも「わからない」とも言わずに、「でもさ、あなたが傷ついてると私も辛いよ」とだけ伝えましょう。

私はあなたを大事に思っている、ということを「1メッセージ」で伝えるのです。(69ページより)

そして「続きを話したくなったら連絡して」と、その場を離れる。相手に選択肢を残しつつ、攻撃されない距離でそっと待つことが大切だという考え方です。(66ページより)

「それって根拠あるの?」

理屈ではなく直感的に「これはいい!」と感じることはあるもの。

仕事の場においても、ひらめきでつくった企画のほうが魅力的になることも少なくありません。ただし、そういう企画は会議で攻撃を浴びやすくもあります。

「思い切って茶色にしてみたらどうでしょう?」

「どうして? 根拠は? なにか確信でもあるの?」

「最近、主婦層はシックな色を好む人が多いように見受けられ…」

「『見受けられ』ってなに? データとった? 単に君の主観じゃないの?」

たとえば、このように。よくある話だとはいえ、繊細な人はこの時点でくじけてしまうかもしれません。否定されるつらさ、論破される恐怖に怯えてしまうわけです。

とはいえ、そんなに縮こまる必要はないものでもあります。最初のワクワク感や、これまで培ってきたセンスが本物である可能性も大きいのですから、まずは自分の感覚を信じるべきだということ。

しかも論理的でデータ主義の人だけが正しいかというと、一概にそうともいいきれない部分があるはず。なぜなら、実は相手も感覚で話していることも考えられるから。

「根拠」「データ」を強調しつつ、結局のところは単に「その案は気に食わない」「よくわからない」ということが多いわけです。

ですからこういうときは、話を「主観 vs. 主観」に持っていくのがベスト。

「データは?」と聞かれたら「用意すべきでした、すみません」と素直に謝ります。 そのうえで「ちなみに、課長ご自身はどんな色がいいですか?」と主観に話を移しましょう。

もし相手が「個人的には合うが好きなんだよね」と言ってくれれば、ようやく伸び伸び話せますよね。(73ページより)

繊細な人は、強く出られると反射的に白旗を上げてしまう癖があると著者はいいます。でも、怖がらなくてOK。ゆっくり自分のペースで話せばいいということです。(70ページより)

鈍感な人の無神経なひとことに振り回されないためには、「ことばの受け止め方」を変えることが大切だと著者。

ほんの少し変えてみるだけで心の平穏が守られ、相手に対する態度やコミュニケーションが自然と変わり、「鈍感な人」との関係も良好になるということ。本書を参考にしながら実践してみれば、苦手な人との関係も改善できるかもしれません。

Source: PHP研究所

メディアジーン lifehacker
2021年9月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク