『東京ヒゴロ』
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【気になる!】コミック『東京ヒゴロ①』
[レビュアー] 産経新聞社
白い文鳥の表紙が目を引く、著者初の「漫画家」をテーマにした漫画だ。物語は50歳過ぎの漫画編集者・塩澤が出版社を自己都合で退職する下りから始まる。
一度は手持ちの漫画を全て手放そうとした塩澤。葛藤の末、理想の漫画本を作ることを決意し、自分が信じる漫画家たちを訪ね歩く。かつての輝きを取り戻せないまま今も描き続ける漫画家、何も描けなくなった漫画家…。
漫画家が漫画業界のアレコレや人情の機微を描くのだから、面白くないはずがない。何気ない街の風景の絵も実に美しい。手元に置き、折につけページをめくりたくなる一冊。(松本大洋著、小学館・1500円)