【グラレコ実践編】「〇・△・□」が描ければOK!仕事に役立つ「グラレコ」の基本

ニュース

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

オンラインでの会議やセミナーが増えたいま、話の内容や問題への理解が深まるグラフィックレコーディング、通称「グラレコ」は、ビジネスパーソンが身につけたいスキルの一つです。「絵(Graphic)」で「リアルタイムに記録する(Recording)」する「グラレコ」。グラレコがうまくなる鍵は、まずはかんたんな絵をどんどん描いて慣れることです。今回は、「○(まる)・△(さんかく)・□(しかく)」といったシンプルなパーツを組み合わせるだけで描ける、「モノ」と「人」の描き方のコツを解説していきます。

※本稿は『その場で「聞く・まとめる・描く」グラレコの基本』本園大介[著](日本実業出版社)を一部抜粋し、再編集しています。

身の周りのモノは「〇・△・□」で描ける

グラレコでは、さまざまな「モノ」を描きます。たとえば、メールやPCなどのアイコン、会社のビルや学校などの建物などです。

モノを描くコツは、複雑に考えすぎにシンプルに考えることです。 あらゆるモノは、3つの要素「○(まる)・△(さんかく)・□(しかく)」に分解できます。この「○・△・□」を組み合わせて描けば、ほぼどんな絵も描けるのです。

たとえば、メールは「□+▽」で描けますし、ビルは大きさの違う「□」で描けます。あまり複雑に描こうとせずに、シンプルに描くことを目指しましょう。


基本は「〇・△・□」

描くためにはまず「物事の本質」を捉えること

アイコンを描くためには、物事の「本質」を捉えることが大切です。「本質」といわれても、なかなかイメージしづらいかもしれません。本質とは、あるものを理解するための最もシンプルな形のことです。

たとえば、電車を構成するパーツは、まずは車両で、横長の長方形で描きます。しかし、この長方形だけでは、これがなにかよくわかりません。そこでもう1つ、長方形の上にひし形を乗せてみましょう。電車のパンタグラフです。ここまで描くと、なんとなく「電車かな?」と思うかもしれません。さらに長方形の下に半円(車輪)をつけると、電車らしくなります。電車の構成要素である車両・パンタグラフ・車輪を描けば、多くの人は電車だとわかります。線路まで描けば完全に電車です。

>
本質を捉えて描く

本質を捉えて描くには、モノを構成する要素をよく見て、最低限どの要素を描けばいいかを考えます。モノを見るときの観察力が大切です。いままでなんとなく見ていたモノをまじまじと見ると、細かな違いに気がつきます。細かな「ほかとの違い」が、そのモノを認識するための重要なパーツであることが多いのです。

たとえば電車とバスではなにが違うでしょうか? パンタグラフの有無はすぐに思いつくと思います。車輪はどうでしょうか。丸い車輪だと思っている人が多いのではないでしょうか。よく観察すると、電車の車輪は下半分しか見えていません。そして正面から見ると、電車の運転席は進行方向左であり、バスは右に運転席があることに気づきます。観察力が磨かれてくると、こうした細部に気づくようになります。


モノを構成する「最低限の要素」を考える

顔も5つのステップで描ける

「人」を描くとなると、「顔のパーツの描き方や表情のつけ方が難しそう……」と身がまえる人も多いかもしれません。しかし、人を描くうえで必要な構成要素は、「顔・体・感情」の3つです。一見すると難しそうですが、「○(まる)」と「線」だけで十分に表現できます。人の描き方を説明していきましょう。


顔の描き方手順

グラレコで、簡単に顔を描く5つのステップを紹介します。薄いペン(蛍光ペン、鉛筆などでもOK)と、太めで濃いペンを用意してください。

【顔を描く5つのステップ】

1.薄いペンで、◎を描き、円の中心を通るように横線を引きます。これが顔を描くための基本フレームです。

2.太いペンで、外周の円をなぞっていきます。多少ガタガタな線になってもかまいませんので、気にせず描きましょう。これが顔の輪郭です。

3.内側の円と横線が交わっているところに点を描きます。これが目です。

4.内側の円の下部分をなぞって口を描きます。

5.目の上に横線を描きます。これが眉です。

ところで、この顔を見てどこかに違和感はありませんか? 現実の人間にあるはずの鼻と耳がないことです。鼻や耳を描かないのは感情に関係ないからです。「怒りの鼻」とか「悲しみの耳」などは、描こうと思ってもなかなか描けません。

大事なことは、感情を表す最小限のパーツで描くことです。描くパーツが少なければ少ないほど速く描けます。さらには、そのグラレコを見る人にもわかりやすく伝わりやすくなります。

こうした理由で、グラレコでは鼻や耳を描かないのが基本です。似顔絵は例外で、特徴を表現したいときには描くこともあります。

***

以上、シンプルなパーツの組み合わせだけで簡単に描ける「モノ」と「人」の描き方を紹介しました。まずは、どんどん描いてグラレコに慣れていきましょう。

本園大介(もとぞの・だいすけ)
グラフィックコミュニケータ。大手通信関連会社に勤務。社外のワークショップで、口べたの自分でも絵なら伝えられることに感動し、独学でグラフィック・レコーディング(グラレコ)を学ぶ。企業、官公庁、地方自治体、NPO、地域コミュニティ、大学など、これまで500件以上のイベントでグラレコを担当。自身が体系化したグラレコのノウハウをSchooやセミナーで指導し、受講者から「絵心がなくても描ける」と大好評。これまでに指導した人数は10,000名を超える。受講者からグラフィック・レコーダーとして活躍する人が生まれている。精力的に活動しながら、グラレコの魅力と可能性を追求・発信している。

本園大介(グラフィックコミュニケータ)

Book Bang編集部
2021年9月23日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク