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- 海をあげる
- 価格:1,760円(税込)
全国の書店員が「面白かった」、「お客様に勧めたい」と思った本への投票で決定する「本屋大賞」と、インターネットニュース配信サービス「Yahoo!ニュース」が連携して始まった「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 2021年ノンフィクション本大賞」(以下、ノンフィクション本大賞)が10日に発表され、大賞作品は上間陽子さんの『海をあげる』(筑摩書房)に決定した。
本作は、沖縄で若年出産した母親や夜の街で働く少女たちの聞き取り調査を続ける上間さんの初エッセー集。「沖縄で起きている数々のことに絶望し、果たし状を書くような気持ちで書いていたのに、本当に書きたかったのはやはり違うことだったように思います。」と振り返り、「言葉が破壊される国にあって、それを破壊させないと抗い仕事を積み上げる書店員の方々が、この賞をくださったことを誇りに思います。言葉によって、ひととひとがつながりあえることを信じて、自分にできることをひとつひとつやり遂げていこうと思います。」と受賞への想いを語った。
ノンフィクション本大賞は、全国の書店員がお客様に勧めたい本を投票して大賞を決定する「本屋大賞」とヤフー株式会社が運営するニュース配信サービス「Yahoo!ニュース」がタッグを組み、2018年に創設された賞。より多くの読者に良質なノンフィクション作品の魅力を伝え、世界で起きている事象についての思考を深めていただくことを目的にしている。また、「Yahoo!ニュース」では、執筆や出版に労力がかかるノンフィクション本を応援し、受賞者をはじめとする優良な書き手や出版社、書店とのつながりを深め、その活動を支援していくことを目指している。
◆「海をあげる」について
「海が赤くにごった日から、私は言葉を失った」。痛みを抱えて生きるとは、こういうことなのか。言葉に表せない苦しみを聞きとるには、こんなにも力がいるのか。おびやかされる、沖縄での美しく優しい生活。ベストセラー「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち」から3年、身体に残った言葉を聞きとるようにして書かれたノンフィクション。
【以前、BookBangではこちら⇒https://www.bookbang.jp/review/article/657909の書評を公開しました】
◆【著者プロフィール】上間陽子
1972年、沖縄県生まれ。琉球大学大学院教育学研究科教授。普天間基地の近くに住む。1990年代から2014年にかけて東京で、以降は沖縄で未成年の少女たちの支援・調査に携わる。2016年夏、うるま市の元海兵隊員・軍属による殺人事件をきっかけに沖縄の性暴力について書くことを決め、翌年「裸足で逃げる 沖縄の夜の街の少女たち」(太田出版)を刊行。2020年、「海をあげる」(筑摩書房)を刊行。2021年10月には、10代で妊娠・出産した少女たちを支えるシェルター「おにわ」を沖縄でオープンした。
◆「Yahoo!ニュース | 本屋大賞 2021年ノンフィクション本大賞」ノミネート作品(著者/出版社) ※作品名は五十音順
「あの夏の正解」 早見和真/新潮社
「海をあげる」 上間陽子/筑摩書房
「キツネ目 グリコ森永事件全真相」 岩瀬達哉/講談社
「ゼロエフ」 古川日出男/講談社
「デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場」 河野啓/集英社
「分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議」 河合香織/岩波書店
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