第27回中山義秀文学賞が決定 蝉谷めぐ実『化け者心中』

文学賞・賞

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 第27回中山義秀文学賞が14日に発表され、蝉谷めぐ実さんの『化け者心中』(KADOKAWA)に決まった。

 受賞作『化け者心中』は、江戸時代の歌舞伎界を舞台にした時代ミステリー。鬼の仕業とされる不可思議な事件の真相に迫るスリリングな展開と共に、芸に心血を注ぐ者たちの凄まじい執念を描き出した一作だ。

 才能や美醜、そしてジェンダーといった現代にも通じるテーマが息づいている作品とされ、著者の蝉谷さんは、文芸WEBマガジン「カドブン」に掲載されたインタビューで、「自身のどうしようもないところを、いかにして乗り越えるかというところは、本作のテーマにも関わってきている」と答えている。

 著者の蝉谷さんは、1992年大阪府生まれ。2020年に『化け者心中』で第11回小説野性時代新人賞を受賞しデビュー。2021年には同作で日本歴史時代作家協会賞新人賞を受賞している。

 贈呈式は、2022年2月6日、白河市の新白信ビルで行われる予定。

「中山義秀文学賞」は、1993年4月に大信村(現白河市大信)に、「中山義秀記念文学館」開館を記念して創設された文学賞。前年4月1日より当年3月31日までに刊行された書籍を対象に、日本の歴史を素材とした文学作品(歴史・時代小説)の中から、もっとも優れた作品に与えられる。第27回の選考委員は、中村彰彦さん、澤田瞳子さん、伊東潤さん、清原康正さんの4氏が審査を務めた。

 第27回の候補作品は以下のとおり。

『商う狼 江戸商人杉本茂十郎』永井紗耶子[著]新潮社
『天離り果つる国(上・下)』宮本昌孝著[著]PHP研究所
『化け者心中』蝉谷めぐ実[著]KADOKAWA

Book Bang編集部
2021年11月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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