3つのシーンから分かる、「喜ばれる接客」と「嫌がられる接客」の違いとは?

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声かけすると「はっ」と驚かれる、質問しても「そうですね」とあしらわれる、商品説明しても「ふーん」で終わる……こうしたことに悩む販売員も「接客の進め方」を少し変えるだけで、お客様と楽しくコミュニケーションを取りながら売上をあげられる、と接客アドバイザーの平山枝美さんは語ります。

以前はお客様とコミュニケーションを取るのが苦手だった平山さん。「接客、もうしんどい。向いてないかも……」そう思いかけたとき、尊敬していた先輩がアドバイスをくれました。

「『自分がどう売りたいか?』じゃなくて、『お客様がなにをしてほしいか?どうしたら喜んでもらえるか?』を考えないと売上も伸びないよ」

この言葉が、お客様の状況や気持ちを考えるきっかけになり、接客での行動や言葉づかいを見直すようになったそうです。

ここでは、売り場に立ち始めたばかりで不安を感じている人や何年か接客の仕事をしているけれど自信がない人にむけて、販売員が悩みがちな3つのシーンを取り上げました。シーンごとに「嫌がられる接客」と「喜ばれる接客」の違いをイラストで解説し、お客様に押し売りをせず売上を伸ばす方法を紹介します。

※本稿は『イラストでひと目でわかる お客様に嫌がられる接客 喜ばれる接客』(平山 枝美 著、日本実業出版社)から一部抜粋・再編集しています。

1◆ついつい商品の魅力を語り過ぎてしまうとき


「接客OK」の反応が返ってきたら(本書p.24-25)

声かけをしたあとに、商品の特徴をひと言で伝えて興味を引くことを「ワンポイント商品説明」といいます。ダラダラと説明せず、ひと言で伝えられるようにしましょう。

私が新人だったときのことです。パンツを手にしていたお客様に「ありそうでないですよね」と声をかけると、お客様が手を止めてくれました。そのあと、私が「そちらは〇〇というブランドのパンツで、いま注目のデザイナーがいて、きれいなシルエットが得意な……」と説明を続けると、お客様はだんだんとトーンダウンした様子になってしまいました。

その同じ商品をお客様に案内しようとしたとき、うまく言葉が出てこず、「すっごく、ラインがきれいなんです」とシンプルに伝えると「そうなの?」と興味を持ってくれたのです。私はそのとき、「短いひと言で伝えたほうが聞いてくれるようになる」と気づきました。

声かけのあとは、ひと言で商品のメリットを言い切りましょう。「このバッグは驚くほど軽いんです」など、商品のメリットをひと言で伝えると、お客様の興味が一気に高まるのを実感できるでしょう。ひと言で短く言い切ると、自信を持ってすすめたい気持ちが伝わり頼もしく感じてもらえ、「続きを聞いてみたい」と思ってもらえます。

2◆お客様が接客してほしいかどうかわからないとき


お客様に声をかけたときに(本書p.20-21)

「買い物は好きだけど、店員に話しかけられるのは嫌……」「物を選んでいるときはそっとしておいてほしい」と、店頭で接客されることが苦手なお客様も少なくありません。ですから、何度声かけしてもお客様からよい反応が得られず、「調子がよくない」と感じる日もあるでしょう。その理由の一つは、お客様が出している「接客してサイン」にうまく気づいていないからかもしれません。声をかけたときのお客様の身体の向き、うなずき方、視線などに注目すると、接客を続けるか、一度離れるかを冷静に判断できます。

ある店で商品を見ていると、となりにいたお客様が販売員に話しかけられていました。私はそのお客様がしきりに商品を盛ったり戻したりしているのを見ていたので、「きっと接客を受けたいんだな」と思っていました。販売員に声をかけられたときも、販売員のほうに身体を向けて、にっこりと笑ってウェルカムムードだったのですが、販売員はなぜか「ごゆっくりご覧くださいませ」と離れていってしまいました。

お客様が「接客してサイン」を出しているのに、販売員がそれに気づいていないといったことは、じつは頻繁に起こっています。販売員が声をかけてもお客様から目を合わせてもらえず、黙って商品を戻されてしまうことが続くと、「どうせこのお客様もそうだろう」と離れていってしまうようです。

しかし、お客様の行動を冷静に見てみると、「肩を販売員のほうへ向ける」「視線が一瞬でも合う」「商品を戻す素振りがない」などと、接客をそのまま続けてほしいというサインを出しているお客様もいます。
このようなお客様は販売員が離れてしまうと、がっかりします。販売員が引くだけ、お客様も引いてしまうのです。お客様の動きを見て、自分の行動を決めましょう。

3◆お客様の買いたいものが決まっているとき


お客様が特徴のある商品を探していたら(本書p.66-67)

「○○が欲しい」とお客様に言われると、その要望に応えたくなるものです。でも、その要望の奥には、お客様も気づいていない、本当に必要なものやコトが隠れているかもしれません。「なぜそれを探しているのか?」を質問して引き出せれば、よりよい商品を提案できます。

インテリア店でお客様から「この白いベッドの白が欲しい」と言われました。そのベッドは、白の商品自体があいにく生産されていませんでした。それを伝えたうえで、「白い家具がお好きなんですか?」と質問すると、「別にそういうわけじゃなくて、部屋を広く見せられるって聞いたので」と返ってきました。

そこで、「お部屋を広く見せるなら色だけではなく、低めの家具を選ぶのもおすすめですよ」と提案しました。すると、お客様は「そうなんですね。知らなかったです。白以外にも選択肢が広がりました」とうれしそうに商品を選んでいました。「白いベッドが欲しい」の理由は、ほかにも「白が好きだから」「白じゃないといま部屋にある家具と合わないから」「雑誌で見た白の家具がかわいかったから」など、いろいろあるでしょう。

このように、お客様がその商品を欲しくなった理由や経緯を聞くと、思いも寄らない答えを聞き出せます。その理由がわかれば新しい商品を提案できますし、在庫がないときにも別の商品を提案できるなど、お客様によりピッタリな商品選びをお手伝いできるでしょう。

***

販売員をしていると、自分の接客でお客様に「嫌がられた」と感じ、落ち込んでしまうこともあるでしょう。落ち込んだぶん、お客様のことを考えられるようになっているなら、販売員として一歩前進できているということではないでしょうか。本書『お客様に嫌がられる接客 喜ばれる接客』には、「こんな時、お客様はどうしてほしい?」のヒントをたくさん書きました。お客様との接し方に迷ったときには、ぜひ振り返ってみてください。

[著]平山 枝美(ひらやま えみ)
接客アドバイザー。大学卒業後、アパレル企業に入社。入社当初は売り場でまったく声をかけられずに棒立ちしていたものの、売れる販売員は接客の「ひと言」を効果的に使っていることに気づく。
以来、接客のひと言に磨きをかけ、社内全販売員200人の売上トップに。その後、店長として新規店を担当し予算比180~200%達成し、入社最速でエリア・マネジャーに抜擢される。
担当店舗のマネジメントと店長の育成を担当しながら、不採算店舗を次々と立て直し、売上年間10位だった既存店を1位に押し上げるなどの実績を残す。大手アパレル移籍後も、店長の育成に携わったのち独立。
現在は、無印良品(良品計画)、大型商業施設、インテリア小売店など、アパレルに留まらず小売業全般の接客アドバイスを手がける。著書に『売れる販売員が絶対言わない接客の言葉』(日本実業出版社)、『あの人だけが、なぜ売れるんだろう?』(幻冬舎)がある。

[絵]キタハラケンタ
イラストレーター・キャラクターデザイナー。北海道幕別町生まれ。東京都在住。 埼玉大学教養学部卒業後、桑沢デザイン研究所デザイン専攻科卒業。ステーショナリーメーカーでの企画デザイン、デザイン事務所でのデザイン・ブランディングの経験を経て独立。キャラクターデザインと、ゆるめの線を生かしたイラストレーションが得意。

平山 枝美(接客アドバイザー)協力:日本実業出版社

日本実業出版社
2021年11月12日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

日本実業出版社

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