【産経の本】『なぜ日本は中国のカモなのか』石平、李相哲著

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■中国の理不尽さを「抱腹解説」

ともに中国出身で日本に帰化した評論家の石平氏と李相哲(り・そうてつ)龍谷大学教授による初の対談本。「約束や契約を守らないのは中国の伝統芸」と石平氏がいう日本人には理解できない大中華、小中華の伝統芸は、どこから来たのか。日本、中国、朝鮮半島を知り尽くす2人の碩学(せきがく)による〝抱腹解説〟が展開される。

言葉一つとっても中国の不思議さが伝わってくる。例えば石平氏が来日した三十数年前、後輩の中国人女子留学生が「やさしい」という言葉だけ日本語を使った逸話。これについて李氏は「そもそも中国人は厳しい社会を生きてきているので『やさしい』という言葉を作れなかったのだろう」と指摘し、文化的な背景に切り込んでいく。

「文化大革命の時代には文化と人間性に対する前代未聞の破壊があった」と石平氏。そんな中国と日本を比較する癖がついたという2人が、孔子や秦の始皇帝の時代にまで遡(さかのぼ)って「中国が駄目になった理由」を明かす。読み進むと、今の習近平体制の独裁ぶりがよく分かる。

日本人の常識をはるかに超えた中国の理不尽さ、その背後に潜む彼らの行動原理と哲学・伝統を深く掘り下げた一冊だ。(産経新聞出版・1430円)

2021年11月27日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです
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