猫のためにしているように見えることは、実は全部自分のためだ 『これから猫を飼う人に伝えたい11のこと』試し読み

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 2021年もいよいよ終わりに近づいてきましたね。コロナ禍で迎える2度目の年末年始、やはりご自宅でのんびり過ごされる方が多いのではないでしょうか。
 今回は、そんな束の間の穏やかな時間にぴったりの「猫」の読み物をご紹介します。

※本稿は『これから猫を飼う人に伝えたい11のこと』(仁尾 智(短歌・文)/小泉さよ(絵)、辰巳出版)から一部抜粋しています。

期待


猫が喜んでくれると期待して肩透かしを食うことはよくある

 僕が、猫のために、何かをしてあげることは、ない。

 猫のためにしているように見えることは、実は全部自分のためだ。
 我が家には、庭に迷い込んでくる猫のためのサンルームがある。寒くなってくると、外の猫が気になるため、ある年に増設したのだ。冬、外に猫が来るときには、サンルームにホットカーペットを敷いて、外猫用の寝床を作る。これで、こちらも安心して寝られる。完全に自分のためだ。

 猫におもちゃや爪とぎ、おやつを買うことも同じ。僕が勝手にしていることだ。
 だから、買ってきたおもちゃを不思議そうに眺めながら素通りされても、全然悲しくない。
 買ってきた爪とぎを尻目に、すぐ隣のソファで爪をとぎ始めても、全然悲しくない。
 美味しそうに見えたおやつに一切口をつけてくれなくても、全然悲しくない。

 全部僕のために買った僕のものだから。
 猫は、期待に沿わない生き物だから。
 期待に沿わないところが、いいのだから。

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仁尾智(にお・さとる) 1968年生まれ。猫歌人。1999年に五行歌を作り始める。2004年「枡野浩一のかんたん短歌blog」と出会い、短歌を作り始める。短歌代表作に『ドラえもん短歌』(小学館文庫)収録の《自転車で君を家まで送ってた どこでもドアがなくてよかった》などがある。『猫びより』にて「猫のいる家に帰りたい」、『ネコまる』にて「猫の短歌」を連載中。著書に『猫のいる家に帰りたい』『これから猫を飼う人に伝えたい11のこと』(絵・小泉さよ)。

小泉さよ(こいずみ・さよ) 1976年東京都生まれ。おもに猫を描くフリーイラストレーター。著書に『猫ぱんち—二匹の猫との暮らし—』『和の暮らし』『もっと猫と仲良くなろう!』『さよなら、ちょうじろう。』『うちの猫を描こう!』『猫のいる家に帰りたい』等。『猫びより』の連載「猫のいる家に帰りたい」では絵を担当。

辰巳出版
2021年12月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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