皇族が「良い縁談」のために奔走 林真理子が描いた「皇族華族の内面」に注目集まる[文芸書ベストセラー]

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 1月12日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『蜘蛛ですが、なにか? 16』が獲得した。
 第2位は『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』。第3位は『蜘蛛ですが、なにか? 16 短編小説小冊子付き特装版』となった。

 4位以下で注目は8位にランクインした『李王家の縁談』。林真理子さんが戦前の皇族・華族の結婚問題を描いた作品。皇族の梨本宮伊都子妃が、娘の梨本宮方子女王に良い結婚相手をあてがうため執念を燃やす姿を描く。方子女王はのちの昭和天皇、皇太子裕仁殿下のお后候補と目されるも、皇太子妃は従妹の久邇宮良子女王に決まってしまう。そこで伊都子妃は娘を大韓帝国の皇太子、李垠に嫁がせるために奔走する。伊都子妃の心の内を丁寧に描写し、歴史学者の磯田道史さんは帯に《皇族華族の内面をこれほど正確にに描ききった小説は読んだことがない。傑作である。》との評を寄せている。

 同書の発売は2021年11月。折しも秋篠宮家の長女眞子さんと小室圭さんの結婚が発表された同時期の発売となったが、林さんは《いろいろな方に「狙ったでしょう?」と言われますが(笑)、この時期に刊行となったのは本当にたまたまです。3年前から書きたいと思っていたテーマなんです。》(文藝春秋「本の話」より)と語っている。

1位『蜘蛛ですが、なにか? 16』馬場翁[著](KADOKAWA)

『女神を犠牲にして人類を救う』か『人類の半分を犠牲にして女神を救う』か。全人類に突如迫られた選択で、世界中大混乱!魔王、神言教、黒龍、勇者、そして「私」は各々の信念をかけ、クライマックスバトルへ!(KADOKAWAウェブサイトより)

2位『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』遠藤和[著](小学館)

遠藤和(のどか)さんがステージ4の大腸がんを宣告されたのは、21才のときだった。当時交際中だった将一さんには「私、がんだった」と告げた。将一さんは「絶対、別れない」と応じた。22才で結婚式を挙げた。その様子は、『笑ってコラえて』(日本テレビ系)の「結婚式の旅」というコーナーで放送され、大きな反響を呼んだ。子供がどうしても欲しかった。抗がん剤を止めなければいけない。それでも「絶対後悔する。死んでも死にきれないよ」と将一さんを説得した。<はじめて胎動を感じた。私、ママだよ。2~3か月後には、もう会えるね>23才で長女を出産した。21年5月、病院で余命は数週間と宣告された。家に帰った。「それでも人生でいまが一番しあわせ」と家族3人と猫1匹の、愛しき日々を送った。21年9月、24才の若さで亡くなった。和さんが亡くなる10日前まで、生と死を見つめて書き続けた日記。それは、1才の娘と、夫に遺した「愛」の記録。(小学館ウェブサイトより)

3位『蜘蛛ですが、なにか? 16 短編小説小冊子付き特装版』馬場翁[著](KADOKAWA)

馬場翁先生完全書き下ろしの短編小説小冊子には、本編で語られなかった小話やキャラクターたちの様子がわかる日常シーンなど、『蜘蛛ですが、なにか?』ファンには嬉しい内容ばかり!(KADOKAWAウェブサイトより)

4位『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬[著](早川書房)

5位『愛に始まり、愛に終わる 瀬戸内寂聴108の言葉』瀬戸内寂聴[著](宝島社)

6位『転生したらスライムだった件 19』伏瀬[著](マイクロマガジン社)

7位『九十八歳。戦いやまず日は暮れず』佐藤愛子[著](小学館)

8位『李王家の縁談』林真理子[著](文藝春秋)

9位『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ[著](中央公論新社)

10位『転生したら皇帝でした1 ~生まれながらの皇帝はこの先生き残れるか~』魔石の硬さ[著](TOブックス)

〈文芸書ランキング 1月12日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2022年1月15日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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