保護猫ってどんな猫? 双子のアメカヌちゃんと、そら君 『猫にひろわれた話』試し読み

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 飼い主に遺棄されたり、野良猫が産んだ子猫として保健所に収容されたり、ケガをしているところを保護されたり――さまざまな経緯で「保護猫」となった猫たち。

 ある日たまたま道端で出会ったり、思わぬタイミングで知人から紹介されたり、保護施設でロックオンされたり――さまざまな経緯で「保護猫」と出会った人たち。

 そんな「保護猫」と「保護猫と暮らす人」のエピソードを22話収録した書籍『猫にひろわれた話』(辰巳出版)から、とっておきのお話をご紹介します。

天使の寝相 双子のアメカヌちゃんと、そら君

はじまりのお話


アメカヌちゃん、天使の寝相

そろって天使の寝顔を見せるのは、双子のきょうだいアメリとカヌレ。小さなベッドで仲良く眠る動画で一躍人気者になりました。アメカヌちゃんは、Riepoyonn(以下Rie)さんとパパさん、そしてお兄さん猫・そら君と暮らしています。ふたりがRieさんの家族になったお話をする前に、少し昔に遡りましょう。

 2012年初夏。Rieさん&パパさん夫婦は、新しい家族「みかん」を迎えます。お鼻の模様が個性的な男の子。

「私はこのコに出会うために生まれてきた」と思うほど、愛しい存在でした。

 しかし2年後のある日、何の前触れもなく、みかんは虹の橋を渡ってしまいます。

 悲しみに暮れるRieさんのもとに、猫の保護活動をしている知人から「みかんちゃんにそっくりな子猫がいます」と連絡が。みかんが亡くなったのと同じ頃に生まれた子猫には、あの鼻模様が。お空のみかんからのプレゼントだと確信した二人は、子猫を「そら」と名づけ、迎え入れました。

 同居の先輩猫が大好きだったそらですが、引っ越しを境に離れ離れに。そんなそらのため、新しく猫を迎え入れようと思っていたRieさん夫婦。里親募集サイトで、ぎゅっと寄り添う2匹の子猫を見た瞬間に“ふたりとそらと、私たち夫婦が一緒にいる、とっても幸せなイメージ”が広がりました。

 子猫たちは元の飼い主に遺棄されて動物愛護センターに収容され、ボランティアさんの尽力により引き出されたのでした。保護主さんのお宅で愛情たっぷりに育てられたおかげで人慣れはバツグンに。そして、Rieさん家族の元へやってきて……ここに「アメカヌちゃん」、誕生です。

保護猫がくれた幸せ


子猫時代のアメカヌちゃんと、見守るそら君

「アメリとカヌレがどんな性格で、どんなことに気をつけてあげるべきかを保護主様がしっかりと教えてくださり、とても心強かったです。これは元保護猫だからこそかもしれません」とRieさんは当時を振り返ります。「アメカヌと出会う前、ある方のInstagramの投稿をきっかけに“保護猫”の存在を知りました。そのご縁で『そら』を迎え入れてたくさんの幸せをもらい、『猫に恩返しをしたい!』と強く思うようになりました。今はオリジナルチャリティグッズを販売して、微力ながら売り上げをボランティアさんに寄付したりしています。自分なりに力になれることをこれからも継続していきたいです」

受け継がれる優しさ


「幸せ」ってこういうこと

 突然赤ちゃん猫たちのお兄さんになったそらは、まるで本当の親猫のようにアメカヌちゃんをグルーミングしたり、甲斐甲斐しく世話を焼いたり、猫としての所作を教育したり……。

 そんなそらお兄ちゃんから、アメカヌちゃんは「優しさ」を学びました。ペロペロしてもらったら、お返しのペロペロ。ほら、またイチャイチャが始まりましたよ。そら兄ちゃんも一緒にペロペロ……。猫たちにとってもRieさん夫婦にとっても、なんて幸せな時間でしょう。

 みかんに始まり、Rieさん夫婦と猫たちとの間に受け継がれてきた愛情の連鎖。それを知ってか知らずか、今日もみんなそろってラブラブです。

(写真・Riepoyonn 文・小林裕子)

辰巳出版
2022年2月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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