「武将が脇役。戦争のリアルを描きたかった」直木賞受賞の『塞王の楯』は異色の歴史小説[文芸書ベストセラー]

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 1月25日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『黒牢城』が獲得した。
 第2位は『探花―隠蔽捜査9―』。第3位は『塞王の楯』となった。

 1位の『黒牢城』と3位の『塞王の楯』はどちらも1月19日に発表された第166回直木賞を受賞した作品。『黒牢城』はミステリと歴史小説の融合した作品。「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」「本格ミステリ・ベスト10」など年末ミステリーランキングを総なめにした話題作。

『塞王の楯』は戦国時代の石垣職人を主人公に据えた歴史小説。合戦のど真ん中で石垣修復工事を行う穴太衆という石工集団の熱い活躍を描いた異色作だ。著者の今村翔吾さんは刊行時のインタビューで《石工の居場所って足軽(あしがる)と同じなんですよ。例えば目の前に銃弾が飛んでくるという描写って、ありそうであんまりない。それって、足軽視点で戦を書いた小説が少ないからだと思うんです。そこをしっかり描くことで、戦争のリアルを描きたいと思っていました。戦場ではいつ誰がどういうふうに死ぬかも分からない、死神がうろついているような世界を描きたかった。》《言ってみればこの作品は職人が主人公で、武将が脇役なんです》と語っている 。

1位『黒牢城』米澤穂信[著](KADOKAWA)

本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の智将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。デビュー20周年の集大成。『満願』『王とサーカス』の著者が辿り着いた、ミステリの精髄と歴史小説の王道。(KADOKAWAウェブサイトより)

2位『探花―隠蔽捜査9―』今野敏[著](新潮社)

神奈川県警刑事部長となった竜崎のもとに現れた、同期入庁試験トップの八島という男。福岡県警から赴任してきた彼には、黒い噂がつきまとっていた。さらに横須賀で殺人事件が発生、米海軍の犯罪捜査局から特別捜査官が派遣されることに――。次々と降りかかる外圧に、竜崎は警察官僚(キャリア)としての信念を貫けるのか。新展開の最新刊。(新潮社)

3位『塞王の楯』今村翔吾[著](集英社)

どんな攻めをも、はね返す石垣。どんな守りをも、打ち破る鉄砲。「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極の戦国小説!(集英社ウェブサイトより)

4位『信じていた仲間達にダンジョン奥地で殺されかけたがギフト『無限ガチャ』でレベル9999の仲間達を手に入れて元パーティーメンバーと世界に復讐&『ざまぁ!』します! 3』明鏡シスイ[著](ホビージャパン)

5位『ママがもうこの世界にいなくても 私の命の日記』遠藤和[著](小学館)

6位『異世界のんびり開拓記 1 -平凡サラリーマン、万能自在のビルド&クラフトスキルで、気ままなスローライフ 開拓始めます!-』タライ和治[著](ホビージャパン)

7位『新しいゲーム始めました。 ~使命もないのに最強です?~4』じゃがバター[著](TOブックス)

8位『白豚貴族ですが前世の記憶が生えたのでひよこな弟育てます6』やしろ[著](TOブックス)

9位『特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来』南原詠[著](宝島社)

10位『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬[著](早川書房)

〈文芸書ランキング 1月25日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2022年1月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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