「世間の常識」とずれていると感じたとき、どう折り合いをつけるのか 養老孟司が『バカの壁』で書きたかったこと[新書ベストセラー]

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 1月25日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、新書第1位は『ヒトの壁』が獲得した。
 第2位は『今を生きるあなたへ』。第3位は『寂聴 九十七歳の遺言』となった。

 1位の『ヒトの壁』は発行部数450万部を越え、平成で1番売れた新書『バカの壁』(新潮社)から続く養老孟司さんの「壁」シリーズの最新作。『ヒトの壁』も15万部を突破している。

 養老さんは『バカの壁』が売れた理由について、《私は長年、自分の常識は世間とズレていると考えてきました。今もそうですが、それが悩みでストレスだったんです。そのストレスとどう折り合いをつけられるか。世間とどう折り合いをつけられるか。それをまとめたから、読まれたのかと思います。》とコメントしている。

 養老さんは昨年始めた公式YouTubeチャンネルで「バカの壁はなぜ売れたのか ~欧米と日本の考え方の違い~」という動画を公開し、手続きを重んじる科学の世界と日本の常識の違いに挟まれ、《僕はそれで一生苦労してきたようなものですから》と告白している。そこで考え抜いた末に《仕事ではこう考えなきゃいけないけど、普通の生活では無理だよ》という「当たり前の常識」にたどり着き、それが多くの人に受け入れられた、と売れた理由を分析している。

1位『ヒトの壁』養老孟司[著](新潮社)

病気はコロナだけじゃない。そして、死は誰にでも平等にやってくる。新型コロナウィルス禍と五輪、死の淵をのぞいた自身の心筋梗塞、愛猫まるの死――ヒトという生物であると実感し、2年間の体験からあらためて問い直す。人生そのものが、不要不急ではないか。それでも生きる価値はどこにあるのか。84歳の知性が考え抜いた、究極の人間論!「壁」シリーズ4年ぶり待望の最新刊。(新潮社ウェブサイトより)

2位『今を生きるあなたへ』瀬戸内寂聴[著]瀬尾まなほ[著](SBクリエイティブ)

瀬戸内寂聴さんがこの世を去る前に語ったメッセージをお届けする最後の一冊(SBクリエイティブウェブサイトより)

3位『寂聴 九十七歳の遺言』瀬戸内寂聴[著](朝日新聞出版)

「死についても楽しく考えた方がいい」。私たちはひとり生まれ、ひとり死ぬ。常に変わりゆく。だから、いくつになってもだれかを愛することは「有り難い」奇跡──私たちは人生の最後にどう救われるか。生きる幸せ、死ぬ喜び。魂のメッセージ。(朝日新聞出版ウェブサイトより)

4位『70歳が老化の分かれ道 若さを持続する人、一気に衰える人の違い』和田秀樹[著](詩想社)

5位『糖質中毒 痩せられない本当の理由』牧田善二[著](文藝春秋)

6位『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン[著]久山葉子[著](新潮社)

7位『世界のニュースを日本人は何も知らない3 - 大変革期にやりたい放題の海外事情 -』谷本真由美[著](ワニブックス)

8位『激動 日本左翼史 学生運動と過激派 1960-1972』池上彰[著]佐藤優[著](講談社)

9位『人新世の「資本論」』斎藤幸平[著](集英社)

10位『日本語の大疑問 眠れなくなるほど面白い ことばの世界』国立国語研究所[編](幻冬舎)

〈新書ランキング 1月25日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2022年1月29日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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