【話題の本】『どうやら僕の日常生活はまちがっている』岩井勇気著

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■平凡な毎日面白くする視点

お笑いコンビ「ハライチ」でネタ作りを担当する著者の2作目のエッセー集だ。10万部を突破した1作目に続き、30代独身・1人暮らしの男性の日常が独自の視点とリズミカルな文章でつづられる。

エッセー23編に初の小説を収録。昨年9月に発売され、3刷6万部と好調だ。「はじめに」でまず、「1冊目はたまたま売れただけだ」「本を出すことで芸人としての人生をすり減らされてたまるか!」と述べる。皮肉屋でいじわるな気持ちを率直に書けるのも著者の持ち味だ。

「思いっきり日常を書こう」という宣言通り、芸能人との華やかな交友録や業界裏話はない。例えば、収録作の『天使の扱いが雑になっている件』では、トイレの注意書きや、ペットのふんに関する張り紙に添えられた天使の絵を見て「そんなことやらせんなよ!」と憤慨する。ありふれた日々の出来事から妄想を広げ、突っ込みを入れる。

編集担当者は「日常という共感できるベースと独特の世界観がある。普通のエッセーとしておもしろいので、より多くの人に支持されたのではないか」。視点をずらせば平凡な毎日も面白いことであふれている。(新潮社・1375円)

油原聡子

産経新聞
2022年2月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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