「多様性」を礼賛する社会に一石を投じた直木賞作家・朝井リョウの問題作 本屋大賞ノミネート[文芸書ベストセラー]

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 2月15日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『デスマーチからはじまる異世界狂想曲 24』が獲得した。
 第2位は『塞王の楯』。第3位は『黒牢城』となった。

 4位以下で注目は10位にランクインした『正欲』。同作は直木賞作家・朝井リョウさんの作家生活10周年記念作。その衝撃的な内容から2021年3月に刊行されるとたちまち話題となり、10月には第34回柴田錬三郎賞を受賞、12月には2021年ブクログ年間「本」ランキングで1位を獲得。今年1月には第19回本屋大賞にもノミネートされた。物語はある事件をきっかけに一見無関係に見える人々の人生が重なり、繋がり合う。しかしその繋がりは“多様性”を礼賛する時代には不都合なものだった――。あってはならない感情とは? 「正しい」欲とは何なのか? 社会全体を覆う思考停止のその先を描いた問題作。

 俳優の南沢奈央さんは同書から受けた衝撃を《無意識に目を背けていた部分、自分の愚かさに向き合わざるを得ない読書体験。》と綴り、《その通りです、としか言えない。何の否定も弁明もできないほどに、自分の奥底にあったものを鮮やかに見抜かれてしまった。》と告白している。

1位『デスマーチからはじまる異世界狂想曲 24』愛七ひろ[著](KADOKAWA)

死霊術士による大事件を解決したサトゥー達。発展を遂げた勇者屋をロロに任せ、一行は周辺諸国への訪問を再開したり、装備を強化したりと大忙し。しかし、その間に今度は大魔女アーカティアに魔手が迫っていて……?(KADOKAWAウェブサイトより)

2位『塞王の楯』今村翔吾[著](集英社)

どんな攻めをも、はね返す石垣。 どんな守りをも、打ち破る鉄砲。 「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極の戦国小説!(集英社ウェブサイトより)

3位『黒牢城』米澤穂信[著](KADOKAWA)

本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の智将・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。デビュー20周年の集大成。『満願』『王とサーカス』の著者が辿り着いた、ミステリの精髄と歴史小説の王道。(KADOKAWAウェブサイトより)

4位『サイレント・ウィッチ III 沈黙の魔女の隠しごと』依空まつり[著](KADOKAWA)

5位『母の待つ里』浅田次郎[著](新潮社)

6位『異世界に転移したら山の中だった。 反動で強さよりも快適さを選びました。 7』じゃがバター[著](ツギクル)

7位『ブラックボックス』砂川文次[著](講談社)

8位『六人の嘘つきな大学生』浅倉秋成[著](KADOKAWA)

9位『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬[著](早川書房)

10位『正欲』朝井リョウ[著](新潮社)

〈文芸書ランキング 2月15日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2022年2月19日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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