【話題の本】『Two‐Sideways 二刀流』平野歩夢著

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■前人未到の挑戦の軌跡

夏の東京ではスケートボード、冬の北京はスノーボード。わずか半年余りの間に2つのオリンピック、しかも異なる競技で出場した人はいない。前人未到の挑戦は先月、スノーボード・ハーフパイプで史上最高難度の大技を決めて金メダルという、これ以上ない結果で幕を閉じた。

コロナ禍と東京五輪の延期、そして北京五輪でも不可解なジャッジに見舞われるなど幾多の困難が立ちはだかったが、平野歩夢選手は負けなかった。その強靱(きょうじん)な精神力はどこから来るのか。彼という人間に興味を持った人も多いだろう。

本書は〝二刀流宣言〟からの激動の3年間を、豊富な写真と言葉で記録したフォトエッセー。東京オリンピック後の昨年9月に刊行された。

2大会連続銀メダルに輝いた冬の五輪を前に「正直、めちゃくちゃ準備してました」とKADOKAWAの編集者。金メダル獲得後には書店から注文が相次ぎ、緊急重版に。表紙(厳密には超幅広の帯)も初版のスケートボードから、スノーボードのバージョンに変わった。

平野選手を突き動かすのは「誰もやっていないこと」「限界の先」への好奇心。そのために重ねてきた努力の軌跡が胸を打つ。(KADOKAWA・2200円)

黒沢綾子

産経新聞
2022年3月5日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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