「伏線の狙撃手」と呼ばれる著者が独自の執筆方法を明かす SNSで話題の心理ミステリ 本屋大賞ノミネート『六人の嘘つきな大学生』[文芸書ベストセラー]

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 3月23日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、文芸書第1位は『塞王の楯』が獲得した。
 第2位は『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~短編集2』。第3位は『戦国小町苦労譚 十五 本願寺炎上』となった。

 4位以下で注目は8位にランクインした『六人の嘘つきな大学生』。4月6日に発表される「2022年本屋大賞」にノミネートされたミステリ作品だ。舞台はIT企業の採用試験。6人の大学生が一人の内定者を決めるためにディスカッションを行うこととなる。各々が後ろ暗い秘密を抱えており、秘密を告発する封筒の存在が明らかになると、6人は密室で心理戦を繰り広げる。会話劇の合間に後日のインタビューも挟まれ、封筒を用意した犯人は誰なのか、採用されたのは誰なのか、情報が明らかになるたびにそれぞれの印象が変わっていく。二転三転する緻密に練られたストーリーがTiktokやTwitterで話題となり、若い読者にうけている。

 著者の浅倉秋成さんはインタビューで《僕の場合、下書きに近い状態のプロットを作っておかないと不安でしょうがないんです。最初に折れ線グラフを作って、ここで頂点を迎えてここで一回落ちて、また上がって…と決めて、それに沿って何が起きるのかあてはめていく》と本作には細かい設計図があったことを明かしている。さらに《それぞれの行動や台詞もエクセルに書いて、全体を把握してから書き始めます。細かいところで遊ぶためには、大枠が見えていないと迷子になるので、マクロからミクロに落とし込んでいく感じです》と「伏線の狙撃手」という異名をもつ浅倉さんならではの手の込んだ執筆方法を解説している。

1位『塞王の楯』今村翔吾[著](集英社)

どんな攻めをも、はね返す石垣。どんな守りをも、打ち破る鉄砲。「最強の楯」と「至高の矛」の対決を描く、究極の戦国小説!(集英社ウェブサイトより)

2位『本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~短編集2』香月美夜[著](TOブックス)

貴族院も三年生が終わる。青色巫女見習いの頃に比べると、名前がマインからローゼマインに変わって、身長も25cmくらい伸びた。植物紙の本もいっぱい作った。わたしが知らないうちに、みんなも色々あったみたい。えっ!?ルッツとトゥーリが婚約???知られざるエピソード満載の短編集第2弾!WEB掲載のSSや、「第二部神殿の巫女見習い」から「第五部女神の化身IV」までの特典SSなど、単行本に未収録の短編計19編を一冊に!下町の家族や仲間、側仕え、他領の貴族、王族達などの視点を通して描かれる人生模様。ユルゲンシュミットの各領地を変遷しながら、本編と交錯する物語が拡張する!各短編に香月美夜の解説入り!椎名優描き下ろし「四コマ漫画」収録!(TOブックスウェブサイトより)

3位『戦国小町苦労譚 十五 本願寺炎上』夾竹桃[著](アース・スターエンターテイメント)

577年6月、和睦が進んでいた織田家と本願寺に突如亀裂が入る。行方知れずだった教如が本願寺を占拠したのである。裏で手を引いている「何者か」の気配を感じつつも、静子は官軍として本願寺に向かう。7日間という制約にもひるまぬ奇策とは?一方伊達家からは人質として「藤次郎(後の政宗)」が差し出され、静子のもとへ!電話と最新兵器で北条家の牙城にいよいよ迫る勢いの15巻、ついに発売!(アース・スターエンターテイメントウェブサイトより)

4位『もふもふとむくむくと異世界漂流生活 1』しまねこ[著](アース・スターエンターテイメント)

5位『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬[著](早川書房)

6位『聖女の魔力は万能です 8』橘由華[著](KADOKAWA)

7位『黒牢城』米澤穂信[著](KADOKAWA)

8位『六人の嘘つきな大学生』浅倉秋成[著](KADOKAWA)

9位『生まれた直後に捨てられたけど、前世が大賢者だったので余裕で生きてます 1』九頭七尾[著](アース・スターエンターテイメント)

10位『正欲』朝井リョウ[著](新潮社)

〈文芸書ランキング 3月23日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2022年3月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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