映画「ドライブ・マイ・カー」は「村上春樹×チェーホフ×濱口竜介の三つ巴」原作本もベストセラー

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 3月23日トーハンの週刊ベストセラーが発表され、文庫第1位は『独り立ち 吉原裏同心(37)』が獲得した。
 第2位は『余命10年』。第3位は『きたきた捕物帖』となった。

 4位以下で注目は7位にランクインした『女のいない男たち』。村上春樹さんの短編小説集だ。6つの短編が収録され、うち一編が2021年に公開された濱口竜介監督・脚本の映画「ドライブ・マイ・カー」の原作となった。映画はカンヌ国際映画祭で脚本賞受賞し、日本アカデミー賞でも作品賞を含む計8部門で優秀賞を受賞した。また日本時間28日に発表される第94回米アカデミー賞でも作品賞など4部門にノミネートされており注目が集まっている。

『女のいない男たち』に収録された「ドライブ・マイ・カー」は妻を亡くした舞台俳優で演出家の主人公が、専属ドライバーの女性との交流をきっかけに、妻の秘密と自身の悲しみに向き合っていく物語。映画のストーリーも短編小説と大筋では同じだが、同じく同短編集に収録された「シェエラザード」「木野」からもアイデアを採り入れている。

 東京大学名誉教授でロシア・ポーランド文学の研究者・沼野充義さんは、文芸誌「新潮」に寄稿した論考で、《映画を観ると、村上春樹に負けないくらい、もう一人の作家の存在感がこの映画の中では強烈であることが分かる》と述べている。そのもう一人とは、ロシアの小説家で劇作家のアントン・チェーホフ。濱口監督はこれまでの作品でもチェーホフの演劇を映画の中で登場人物に朗読させるかたちで使用してきた。今作でも主人公が芝居を演出するシーンがあり、そこで使われているのもチェーホフの『ワーニャ伯父さん』だ。沼野さんは村上作品を通してチェーホフのセリフに触れると、初めて聞くようなを「強度」をもって迫ってくると述べ、この作品を「村上―チェーホフ―濱口の三つ巴」と評している(「新潮」2021年10月号「村上―チェーホフ―濱口の三つ巴――『ドライブ・マイ・カー』の勝利」より)。

1位『独り立ち 吉原裏同心(37)』佐伯泰英[著](光文社)

端午の節句のその日、大門前に立った男女。一年余の京での修業を終え、吉原に戻った神守幹次郎と加門麻であった。再会を喜び合う吉原の面々だったが、長い闘いで吉原が失ったものは大きかった。幹次郎は会所を率い、吉原を再生させることを誓う。そんな中、廓で小さな騒ぎが。やがてそれが幕閣を巻き込む大騒動へと発展していく。新しく始まる吉原の運命やいかに。(光文社ウェブサイトより)

2位『余命10年』小坂流加[著](文芸社)

20歳の茉莉は、数万人に一人という不治の病にかかり、余命が10年であることを知る。笑顔でいなければ周りが追いつめられる。何かをはじめても志半ばで諦めなくてはならない。未来に対する諦めから死への恐怖は薄れ、淡々とした日々を過ごしていく。そして、何となくはじめた趣味に情熱を注ぎ、恋はしないと心に決める茉莉だったが……。刊行後またたく間に10万部を突破し、SNSを中心にさらなる感動の輪を広げた涙より切ないラブストーリー。2022年春、小松菜奈さん坂口健太郎さんのW主演で満を持して映画公開決定! 第6回静岡書店大賞 映像化したい文庫部門 大賞受賞作。(実行委主催 静岡新聞社/共催 静岡放送)(文芸社ウェブサイトより)

3位『きたきた捕物帖』宮部みゆき[著](PHP研究所)

まだ下っ端の見習い岡っ引きの北一(16歳)は、亡くなった千吉親分の本業だった文庫売り(本や小間物を入れる箱を売る商売)で生計を立てている。やがて自前の文庫をつくり、売ることができる日を夢見て……。北一が、相棒・喜多次と出逢い、親分のおかみさんの協力を得て自立し、事件や不思議な出来事を解き明かしていく、優しさあふれる捕物帖。(PHP研究所ウェブサイトより)

4位『流浪の月』凪良ゆう[著](東京創元社)

5位『三千円の使いかた』原田ひ香[著](中央公論新社)

6位『かくりよの宿飯 十二 あやかしお宿の回顧録。』友麻碧[著](KADOKAWA)

7位『女のいない男たち』村上春樹[著](文藝春秋)

8位『悪の包囲 ラストライン5』堂場瞬一[著](文藝春秋)

9位『水無月家の許嫁 十六歳の誕生日、本家の当主が迎えに来ました。』友麻碧[著](講談社)

10位『珈琲店タレーランの事件簿 7 悲しみの底に角砂糖を沈めて』岡崎琢磨[著](宝島社)

〈文庫ランキング 3月23日トーハン調べ〉

Book Bang編集部
2022年3月26日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

新潮社

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