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- 52ヘルツのクジラたち
- 価格:1,760円(税込)
全国の書店員が「今いちばん売りたい本」を選ぶ「2021年本屋大賞」が14日に発表され、町田そのこさんの『52ヘルツのクジラたち』(中央公論新社)が受賞した。
受賞作『52ヘルツのクジラたち』は、長年にわたって虐待を受け、自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚を主人公とした長編小説。貴瑚と同様に虐待を受け、話すことができなくなった少年との交流を通じて、DVや児童虐待などの問題を浮き彫りにした作品だ。
書評家の石井千湖さんは主人公の過去が明かされる経緯を記しながら、「すべての謎が解けたとき、あまりにも悲痛な愛の形が浮き彫りになる」と今作でも発揮された構成力と情緒の開放を称賛。そのうえで「愛を注ぎ、注がれる関係は、まずお互いの話を聴くことからはじまると教えてくれる一冊だ」と評している。
https://www.bookbang.jp/review/article/627036
町田さんは1980年生まれ。2016年「カメルーンの青い魚」で「女による女のためのR-18文学賞」大賞を受賞し『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』でデビュー。その他著作に『ぎょらん』『うつくしが丘の不幸の家』(東京創元社)がある。
その他、「翻訳小説部門」は、友廣純さん翻訳のディーリア・オーエンズ『ザリガニの鳴くところ』(早川書房)が受賞、「発掘部門」は、みうらじゅんさんの『ない仕事の作り方』(文藝春秋)が「超発掘本!」に輝いた。
本屋大賞は今年で18回目。2019年12月1日~2020年11月30日に刊行された日本のオリジナル小説を対象に実施され、全国の書店で働く書店員による投票で決める。今回は全国438書店、書店員546人の一次投票により、集計の結果、以下の10作がノミネートされた。
『犬がいた季節』伊吹有喜[著]双葉社
『お探し物は図書室まで』青山美智子[著]ポプラ社
『推し、燃ゆ』宇佐見りん[著]河出書房新社
『オルタネート』加藤シゲアキ[著]新潮社
『逆ソクラテス』伊坂幸太郎[著]集英社
『この本を盗む者は』深緑野分[著]KADOKAWA
『52ヘルツのクジラたち』町田そのこ[著]中央公論新社
『自転しながら公転する』山本文緒[著]新潮社
『八月の銀の雪』伊与原新[著]新潮社
『滅びの前のシャングリラ』凪良ゆう[著]中央公論新社
昨年は、誘拐事件の被害者と加害者を主人公に描いた凪良ゆうさんの『流浪の月』(東京創元社)が大賞を受賞。過去には小川洋子さんの『博士の愛した数式』(第1回)、東川篤哉さんの『謎解きはディナーのあとで』(第8回)、恩田陸さんの『蜜蜂と遠雷』(第14回)などが受賞しており、大賞作品の多くが映像化されている。
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