【話題の本】『暇と退屈の倫理学』國分功一郎著

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■先賢数十人に触れるお得感

暇と退屈を通して人間そのものを考えた本書の著者は、気鋭の哲学者としてさまざまなメディアで活躍する東京大学大学院総合文化研究科准教授。初刊(朝日出版社)は平成23年10月で、人文書としては異例の話題を呼んだ。

本書は増補新版(27年3月、太田出版)の文庫化で、今年1月の刊行から約3カ月で7刷5万5000部と好調な売れ行きだ。新潮文庫編集部の佐々木勉編集長は「本書では、パスカル、ニーチェ、ハイデッガーなど数十人の哲学者や経済学者、心理学者の思想に触れながら、人間らしい生活とは何かを考えている。一人の思想家を掘り下げた本に比べ、ぜいたくでお得な感じがあるのかもしれません」と好調の理由を分析する。

「暇と退屈」のタイトルから、仕事をリタイアした高齢者が暇と退屈をもてあまして読んでいるのかと思いきや、読者の中心層は30~40代の現役世代で43%を占める。男女比は65対35で男性が多い。佐々木編集長は「年齢を問わず楽しめる本だが、知にまみれる喜びという経験を若いうちに体験してもらいたいことから、とくに大学生ぐらいの若い世代に読んでもらいたい」と話している。(新潮文庫・880円)

平沢裕子

産経新聞
2022年4月2日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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