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新書はこれを読め!
[レビュアー] 新潮社
ロシアによる侵攻で世界の耳目を集めるウクライナだが、その歴史と国柄を知る人はそう多くない。黒川祐次『物語 ウクライナの歴史』(中公新書)は、紀元前スキタイの時代から始まり、ロシア帝国とソ連の支配下にあった近現代を経て、ついに独立を果たすまでを俯瞰する好著だ。
中野信子・三浦瑠麗『不倫と正義』(新潮新書)は、脳科学者と国際政治学者による異色の対話。人はなぜ不倫するのか、人はなぜ他人の不倫を叩くのか、結婚とは何のためにあるのか、専門知識をふまえた本音トークに引き込まれる。
千葉雅也『現代思想入門』(講談社現代新書)は、デリダ、ドゥルーズ、フーコーらの「ポスト構造主義」や前後の思想について、分かりやすく教えてくれる。専門家としてより、自身の「青春の総括」として、というスタンスも奏功。
和田秀樹『80歳の壁』(幻冬舎新書)は、認知症や寝たきりのリスクがぐっと上がるこの年代に、考え方や生活習慣について、ざっくりと「正解」を示す。
池内了『江戸の宇宙論』(集英社新書)は、司馬江漢ら江戸時代の在野学者の宇宙論をひもとく。宇宙物理学者である著者ならではの視点で、歴史書としても楽しめる。知識や情報が圧倒的に少ない時代、先人の知的好奇心に頭が下がる。