仕事の悩みが激減!「抱え込み症候群」から脱却する4つのヒント

レビュー

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク

「頑張る」をやめてみる

『「頑張る」をやめてみる』

著者
根本裕幸 [著]
出版社
リベラル社
ジャンル
文学/日本文学、評論、随筆、その他
ISBN
9784434303807
発売日
2022/05/20
価格
748円(税込)

書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます

仕事の悩みが激減!「抱え込み症候群」から脱却する4つのヒント

[レビュアー] 印南敦史(作家、書評家)

心理カウンセラーである『「頑張る」をやめてみる』(根本裕幸 著、リベラル文庫)の著者は、日本人はいろんなことを抱え込みやすい人種なのかもしれないと指摘しています。

たとえば「責任感が強い」「真面目」「相手の気持ちに配慮する」「空気を読む」「礼儀やマナーをきちんと守る」「他人に迷惑をかけてはいけないと思っている」「自分ひとりで解決するのが望ましい」というような考え方は、長所でもあるとも解釈できるでしょう。

しかし、ときにそうした長所は私たち自身の首を絞める短所にも変化してしまうというのです。

それが「抱え込み症候群」と私が呼ぶ、一人で何でも抱え込んでしまうクセです。

一人で抱え込むのは「仕事」はもちろんですが「家事」や「友達付き合い」「趣味や習い事の役割」などにおいても起きてきます。

また私たちが普段意識しないことの多い「社会的役割」も大いに抱え込んでしまうものです。(「文庫版 はじめに」より)

しかも近年は、新型コロナウイルスの影響でライフスタイルが大きく変化しました。マスクをして飛沫に注意し、時間にも気を配り、距離的にも離れて会話するなど、以前にくらべて緊張感を強いられることが格段に増えたわけです。いいかえれば、社会の一員として果たすべき役割がずいぶん増えてしまったということ。

そこで、「抱え込みすぎる方の心をほぐし、荷物を軽くし、より自分らしい日常に幸せを感じられるように」という思いから生まれたのが本書。時代の変化を意識しながら、2018年の著作『ついつい抱え込んでしまう人がもう無理! と思ったら読む本』をあらためて見なおしたのだそうです。

そんな本書のなかから、きょうは3「抱え込みから脱出する」に焦点を当ててみましょう。

1. 自分の仕事量を可視化する

仕事でするべきことを「To Doリスト」にまとめたり、買い物をするときにメモを活用したりする方も多いはず。しかし著者はそこから一歩進み、自分用のメモをホワイトボードに書くことを勧めています。そうすることで、まわりの人たちに自分の仕事量の多さを伝えることができ、無理な依頼を断りやすくなるからです。

自分用の小さなホワイトボードを用意して、デスクやリビングに置いておきます。そして毎朝、その日の予定を書き出し、終わったものから消していくのです。予定を書き出すと、自分でもキャパオーバーを自覚しやすくなり、「これは断ったほうがいい」と判断できるようになります。(71ページより)

重要なポイントは、それを他の人からも見えるようにすること。そうすれば、上司がやってきてなにかを頼もうとしても「すみません、こういう状況です」とボードを見せながら説明することが可能。ボードが代弁してくれるので、断るのが苦手な人でも自分の状況を伝えることができるのです。(70ページより)

2. 自分のキャパシティを知り、「ほどほどでOK」とする

自己肯定感が低いタイプ、あるいはしっかり者に多いそうですが、抱え込んでしまう人は、自分のキャパシティを大きく見積もる傾向にあるのだとか。

自分のトラックの積載量の上限が100%なのに、120%や150%の量を無理やり詰め込もうとするようなイメージ。「自分が抱え込む量は多ければ多いほどいい」と思っている人が多いというのです。しかしそれでは、いつか限界が訪れるのも当然の話です。

理想を言わせていただくと、実際に抱える仕事量は自分のキャパシティの60〜70%がベスト。このくらいにとどめておけば、アクシデントなどが発生しても、落ち着いて冷静に対応できます。(73ページより)

そうすることで余裕が生まれれば、長期的に必要なことに取り組めるようになり、クリエイティブな発想にもつながっていくはず。荷物を減らせば減らしたぶんだけ、よりよいものを生み出せるということです。(72ページより)

3. なんでも自分のせいにするのをやめる

自己肯定感が低い人や、まわりの空気を敏感に察知する人は、なにかトラブルが発生すると「自分のせいだ」と思い悩んでしまいがち。しかし、どんなことにも「自分原因説」を軸に臨んでしまうと、モヤモヤがどんどん大きくなり、心が休まることもなくなってしまいます。

このことに関連し、著者は自身のところへ相談に来られる人の話を引き合いに出しています。その人は、「私は自己管理ができていないから、風邪をひきやすいんです」と口にしたというのです。

風邪を引いたのには、無理がたたって免疫力が落ちていたとか、家族の風邪が移ったなどさまざまな原因が考えられるはずです。しかしそのすべてを「自己管理」で片づけて、自分を責めてしまうのです。(75ページより)

そんな相談者に著者は、「起きていることに目を向ければ、原因がわかります」と伝えているそう。また、このことに関連し、日常のトラブルや問題をなんでも「自分のせい」にするのはやめるべきだとも主張しています。そこには自己否定しかなく、原因の根本解決にもならないからです。

大切なのは、起きたことをそのままの形で受け入れること。自分を責めるのではなく、「どうしたら自分にとっていいだろう?」と前向きに考えたほうがいいというわけです。(74ページより)

4. 被害者意識を持ちすぎない

逆説的に聞こえるかもしれませんが、「自分が悪いのでは」と心配するタイプの人は、「他人に◯◯と言われた」「他人に◯◯をされた」という被害者意識を抱きやすいことがあります。

他人の言動に敏感に反応して傷ついてしまうため、心の中に波風が立ちやすく、それが被害者意識、ひいては相手への苦手意識や嫌悪感をつくり出してしまうのかもしれません。

こうした被害者意識や苦手意識は、付き合う相手にも伝わってしまうもの。人間関係がギクシャクする一因になります。(81ページより)

つまり、被害者意識を持ちすぎないように気をつけることも重要だということです。(80ページより)

本書について著者は、「読むだけで心の荷物が軽くなる一冊になった」と記しています。リラックスしながら読めるだけに、たしかに気持ちは楽になりそう。「がんばりすぎている」という自覚のある方は、本書のページをめくってみれば気持ちに変化が現れるかもしれません。

Source: リベラル社

メディアジーン lifehacker
2022年7月11日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

メディアジーン

  • シェア
  • ポスト
  • ブックマーク