【話題の本】『87歳、古い団地で愉しむ ひとりの暮らし』多良美智子著

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■高齢者の生き方指南書ブーム

80歳超高齢者の生き方指南書がブームとなっている。本書もそうした一冊。高齢の「おひとりさま」が増える中、87歳の女性が1人暮らしを満喫する日常をつづって話題を呼んだ。3月の刊行から2カ月で5刷12万部とヒット。著者にはテレビや雑誌からの取材が相次いでいる。

著者は7年前に夫を亡くし、「自分もいつ死ぬかわからない。生きているうちは楽しく」と考えた。85歳のときに孫と始めたユーチューブの番組は登録者数10万人超。「お部屋紹介」の動画が人気という。

本書では、エレベーターのない築55年の団地4階での暮らしぶりを写真満載で伝えている。居心地よく整えた室内には、団地裏の花壇で育てた草花。食材を無駄にしない料理や使い込んだ日用品など、お金をかけずに楽しみ、健康を維持する様子がうかがえる。戦中戦後に比べれば「天国」で、賃貸の団地は「設備が壊れたら修理をしてくれるので、管理がラク」と書く。「この部屋で死ぬ」という気概を持っているとも。

高齢者の単身世帯は増加傾向にあり、令和元年に700万人を超えた。老後のお金や健康の不安を感じさせない著者に、勇気づけられる読者は多そうだ。(すばる舎・1430円)

寺田理恵

産経新聞
2022年7月16日 掲載
※この記事の内容は掲載当時のものです

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