『戦争が町にやってくる』
- 著者
- ロマナ・ロマニーシン [著]/アンドリー・レシヴ [著]/金原瑞人 [訳]
- 出版社
- ブロンズ新社
- ジャンル
- 芸術・生活/絵画・彫刻
- ISBN
- 9784893097095
- 発売日
- 2022/06/03
- 価格
- 1,760円(税込)
書籍情報:JPO出版情報登録センター
※書籍情報の無断転載を禁じます
【児童書】『戦争が町にやってくる』ロマナ・ロマニーシン、アンドリー・レシヴ作、金原瑞人訳 繰り返される悲劇
[レビュアー] 藤井沙織(産経新聞社)
舞台はロンドという架空の町。人々は花を育てたり、歌を歌ったりして暮らしていた。ところがある日、「戦争」がやってくる。町を破壊され、人々はなすすべもなく、ひとり、またひとりと消えていく。そんな中、主人公のダーンカたち仲良し3人組はロンドを暗闇から救い出そうと奔走し、町中の人が力を合わせて戦争に立ち向かう。
「『戦争』とは何か、親子で話し合うきっかけに」と、ウクライナの2人の作家が描いた。今年2月から続くロシアによるウクライナ侵攻を連想するが、最近の作品ではない。
原書は2014年のウクライナ南部クリミア侵攻の体験がきっかけとなり、15年に刊行された。悲劇が繰り返されていることを思い知らされる。
表紙と作中で描かれた赤い花はヒナゲシ。欧州を中心に、第一次世界大戦の犠牲者を追悼するシンボルとされる。物語では、最終的に人々が日常を取り戻し、壊された町も復興する。しかし、傷ついた人や町は決して元通りにはならない。(ブロンズ新社・1760円)
藤井沙織